このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

魔の身体測定


気絶した稲荷を抱えた座敷が退室するのをニコニコしながら見送ったたかはし明は書いたばかりのカルテを手にとった。

「うーん…数値自体は差ほど変わりなし。でも、去年と比べ言動の幼さが目立つかな」

「どうせなら脳波とかも撮って見たいんですけどねー?」と煙草を手にしたたかはしの背後、妖術で現れた学園長にそれとなくお伺いを立てるが「全力で嫌がると思いますよ」と却下されてしまった。ざんねん。

「前々から気になってはいたのですが、彼女はどうも昔と性格に差があり過ぎる。加えて身体も千年前より幼い…」

「唯の若作りかと思っていたんですけどね」と言う学園長に稲荷空狐の去年と今年のカルテを渡して「いやーどうでしょう」とオーバーに手を振ってみせる。

「なにせ稲荷空狐は空想扱いさせる程表に出てこなかったような大妖…正直実在していただけでも凄いことですよ」

善悪どちらの所業の噂もある稲荷空狐。しかしそのどちらも大昔の話ばかりで最近では死んだとか実は創作物だったのでは?なんて扱いされていた程だ。
そんな彼女がまた表舞台に戻ってきた。
どんな心の変化なのか、ただの気まぐれか。

「俺たちには知りえない何かがその千年であったのかも…」とカルテを読む学園長を見れば顎に手をやって何かを考え込んでいる。その脳に浮かぶは千年前の彼女だろうか。
全盛期の稲荷空狐かぁ…気になるなぁ是非見てみたい!!

彼女の出生は詳しく伝わっていない。ある日突然あの天狐が拾って育て出したという噂が流れたと言うのは有名だが、本当にそれくらいだ。
両親は?生まれ育った土地は?何故荒神になったのか?あぁ…見たい、聞きたい、調べたい!!!

とはいえ、彼女のガードは中々に硬い。根城としている山は結界のせいで許可なく妖怪は立ち入れないし、無理矢理と言うには実力差がありすぎる。
今ならとも思ったけど、あの札は剥がそうと思えば自力で剥がせるようだし、その一線を超えれば神通力でするりと逃げられるのは目に見えてる…そして一度失敗すればもう二度とその尻尾を掴ませてはくれないだろう。
それではあまりにもハイリスクローリターンになってしまって旨味がない。

だからこそ学園長の話には興味がある。
何せ昔の彼女を知っている数少ない生き証人なのだから。
彼の話によれば昔は体のサイズは自由自在、好きなものに変幻自在に変化しおちょくられたことが多々あるとか、そんで女性体でのディフォルトの身長が2メートル超えてたって言うんだから面白いよね。
対して今は身長170台と女性にしては大きいけど普通とも言える身長。何より外形もだいぶ子供っぽい見た目をしている。身長を抜かせば中学生でも通じそうな幼い顔立ちだし、体型も寸胴って感じ。
正直今の彼女を見てあの稲荷空狐だとは思わないよねぇ。
でも、神力を使ったり獣姿のサイズを変えたり能力の鱗片はあるので間違いなく本物なんだろうけど。

読み終わったであろうカルテを学園長から渡されて、吸っていた煙草を灰皿に押し付けてから受け取る。お面に隠された表情のせいで何を考えているのかはわからないが彼の中で何かしらの結論が出たのだろうか。

「このまま様子見をするしかなさそうですね。是非、また隙を見て調べてみてください」
「はい、それはもう喜んで!」

「何ならウチの病院に入院させてくれても良いんですよ?」と笑えば「あっ職員会議があるので」と逃げられてしまった。
あの人自体にも興味があるんだけどなぁ…
2/2ページ
スキ