休憩中

その日、零那は安室透香として昼休憩の合間に喫茶ポアロを訪れていた。透香はポアロの扉を開ける。するとそれと同時に軽やかなベルの音が鳴る。

透「いらっしゃいませ！…って透香か」
香『透香か…はないんじゃないの、透？こっちは客として来てるんだけど』
透「悪かったよ…好きな席にどうぞ」

透香は透と軽口を叩きあうとカウンター席に座る。

香『透、ハムサンドとコーヒーをお願い』
透「かしこまりました」
香『(透にかしこまられるとね…それにやっぱり零の時とは違い過ぎ…)』
透「透香？」
香『え？何？』
透「いや、また考え込みすぎてないかと思って…。透香は昔からそういうところがあるから気を付けろよ。歩きながら深く考え込みすぎるなよ」
香『分かってるわ。
まったく…ヒロと同じ事言ってる…』

透香はそう返事した後にハムサンドを食べ、コーヒーを飲む。

香『そういえば、例の件…表の方で休みが取れるから心配しないで』
透「了解」
香『じゃあ、私は仕事に戻るから。ご馳走様』

透香は会計を支払うとポアロを出た。そして向かう先は警視庁。

香『あ、陣平いた』
松「あ？」
香『私、暫くは有給を取るから』
松「はぁ？何でまた…」
香『休めって言われてるのもあるけど、明日は強いて言うなら透とデートって所かしら』
松「お前、デートって言葉使うんだな」
香『失礼ね、それくらい私も使うわよ。陣平は私をなんだと思ってるわけ？』
松「悪かったよ…。ま、せいぜい頑張れよ。どうせあっちの方の仕事だろ？」
香『まあね…そんな所よ…』

透香と松田は話を仕事の話に切り替え、残りの半日を働いた。
その翌日、透香は透と共に黒を基調とした服装でベルツリー急行へと乗車していた。