壊れてしまったチャンプ

オリオン号に破壊されてしまったチャンプと共に帰還した一同は、チャンプをメインルームのテーブルに乗せてそれをバランスが解析する。

バ「修理はここじゃ無理だね…」
ハ「そんな…。直るよね？チャンプ…」

バランスの言葉にハミィは泣きそうな声を出す。

シ「リベリオン本部なら、可能性はないわけじゃない」

定位置にいるショウの言葉にテーブルの周りを囲んだメンバーはショウを見る。しかし、スティンガーとローゼリアだけは少し離れた位置にいた。スティンガーは破壊されてしまったチャンプをただ見つめている。

シ「だが…」
バ「記憶装置まで壊れてたとしたら…」
ナ「元のチャンプには…、戻れない」

スティンガーは身を翻して出口へ向かうための階段を上がる。

ﾗﾌﾟ「どこに行くんですか？」
ス「決まってんだろっ！！…スコルピオのところだ」

ラプターの問いかけに立ち止まって声を荒らげたスティンガーだが、次は荒らげた声を落ち着かせてそう言った。

シ「君には別の任務を与える。チャンプをリベリオン本部まで運んでくれ給えよ」

ショウの言葉にスティンガーは再び身を翻して階段を降りる。

ス「司令！！」
シ「頭を冷やせ！」
ス「…っ」
シ「君が冷静さを失い、チャンプがこうなった。それを胸に刻んでおけ」
ス「………」
シ「ロゼ、君もだよ。君もスティンガーについてチャンプをリベリオン本部まで届けてくれ給え」
『………オッキュー』

ローゼリアは覇気のない声で辛うじて返事をした。
静まった空間の中、ガルがチャンプのそばに置かれたオウシキュータマを手にし、スティンガーに差し出す。

ガ「大丈夫じゃけぇ！チャンプの旦那は絶対に復活する！だから…、それまで俺達に任せるガル」

スティンガーはガルに差し出されたオウシキュータマを手にする。

ラ「あぁ。正義があれば…、チャンプは絶対戻ってくる！」

ラッキーの言葉にスティンガーとローゼリア以外は頷く。

ラ「その前に…、絶対にリュウコツキュータマを手に入れて、チャンプを驚かせてやろうぜ！」

ラッキーの言葉に再び皆は頷いた。

ラ「ラプター」
ﾗﾌﾟ「はい！」
ラ「ラシンバンキュータマは？」
ﾗﾌﾟ「まだエネルギーが回復していないみたいです」

皆に背を向け離れたスティンガーはオウシキュータマを強く握りしめる。その表情は怒りに満ち、何かを覚悟したようだった。そしてそれを見ていたローゼリアもスティンガー同様、何かの覚悟を決めた表情を浮かべた。