仇

ス「フンっ…」

スナイプは立ち去りながら変身を解除し、エグゼイド、ブレイブ、ブロッサムも変身を解除する。
美琴は立ち去っていく大我の背中を見つめる。だが、飛彩はそのたいの背中に声をかける。

飛「あの〝グラファイト〟というバグスター…
5年前、お前が仕留め損ねた相手か？」
大「てめぇには関係ねえだろ」

大我は肩越しに飛彩を見てそう言うと、一度止めた足を動かし、去っていく。

飛「待て！！」

飛彩はそのまま去っていこうとする大我に駆けていく。永夢と明日那は患者を抱えた状態でそんな飛彩を不思議そうに見やる。飛彩は大我の肩を掴み、大我を無理やり振り向かせる。

飛「答えろ！
お前には答える義務があるはずだ…！」
大「最近物忘れが酷くてなぁ」

そう言い放った大我に飛彩は殴り掛かるがその拳は大我に受け止められる。
飛彩は普段の冷静さが欠け、感情が表に出ている。

飛「俺なら小姫を救えた！」
永「ちょっと！2人ともやめてください！」

永夢が2人を宥めようと駆け寄る。

大「そこまで言うならやってみせろ！
そうだ…。グラファイトがお前の恋人の仇だ」
飛「……！」

飛彩の頭に苦しそうに半透明の伸ばされた女性の手が過ぎる。
大我は飛彩の拳を振り払い、背を向け歩き出す。

『大我……』

美琴はそんな大我の後ろ姿を見つめる。

永「飛彩さん…」

永夢は心配そうに飛彩を見る。飛彩は振り払われた右の拳を力強く握り締める。
そんな飛彩の頭に5年前の恋人である百瀬小姫の去って行く後ろ姿が過ぎった。