同期で恋人

警視庁特別捜査班に向かうまでの廊下をほぼ黒一色に身に纏った茶髪の女が歩いていた。そして、女は特別捜査班─通称・特捜班の扉をノックして開ける。特捜班には所属するメンバーの全員が班長を含め揃っていた。

『失礼します』
浅「あのー…何か？」

女に歩み寄ったのは、主任の浅輪直樹。

新「あ…一ノ瀬！」
小「何、新藤君の知り合い？」
新「あ、はい。同期です」

女の名を口にしたのは、新藤亮。そして彼に問いかけたのは、小宮山志保。

村「で、その新藤の同期がどういった理由でここに？」

そう女に問いかけたのは、村瀬健吾。

『本日からこちらの特捜班に異動する事になりました。一ノ瀬朱璃です。よろしくお願いします』
新「え…俺聞いてないけど…」
『私も今日、急に聞かされたのよ』
青「なぁなぁ、なんでただの同期に話すんだよ？」
新「あ…えっとー…」
矢「まあまあ、青柳さん、いいじゃないですか」

新藤に問い詰めたのは、青柳靖。そしてその青柳を宥めているのは、矢沢英明。さらにそれらの光景を班長の宗方朔太郎が静かに見ていた。

浅「まぁ兎に角、これからよろしくね」
『はい。よろしくお願いします』

こうして特捜班に新たなメンバーが1人、加わった。
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新「ハァ…あの時は驚いた…。急に特捜班に異動したって来るんだもん」
『あの時は私も急で驚いたんだから』

新藤と朱璃は互いにラフな格好で並んで座っていた。2人は恋人同士でもあり、同棲していた。その事は当然、特捜班の他メンバーは知らない。
新藤と朱璃の2人は、朱璃が特捜班に異動してきた時の事を思い出し、話していた。時は1年、経過していた。

『班長が去ってから9ヶ月…。一課からの応援要請はないし…』
新「どうなるんだろうな…特捜班…」
『まあでも、明日は防犯イベントの警備があるんだし、しっかりしないとね』