ユウビ百年祭

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名前(カタカナ)

夕断の一族の末裔

ラ「『あの男・・・?』」
ヴ「先程の伝承にも残されていた、この夕断鏡を造り、光を閉ざした一族…
その末裔が今もまだ存在しているのです」
フ「!」
ビ「マジかよ
数百年も前の一族だろ…?なんつー執念だよ…」
ヴ「私達ハマナスの民も何もしてこなかったわけではありません。しかし、わずかな希望をも閉ざすように夕断の一族は万が一も許さない守り手をつけたんです」
フ「その男がもう半分の依頼というわけだ」
ヴ「はい。
何としても私の代でユウビ神殿に光を取り戻したい…!!失いたくないんです。神殿は…この村は…私達の大切な〝家〟だから…」

ヴァイセの目に急に涙が浮かび始め、ビックスローとエバーグリーンは驚く。ヴァイセ自身も慌ててその涙を拭う。

ヴ「わっわっすみません
泣かないって決めたのに、も──っ!!」
ラ「……。失くしたくねぇ〝家〟…か…
マスターボブから依頼を受けた時は修業も兼ねてと少し気持ちが浮ついていたが……
気合、入れ直さねぇとな」
エバ「鏡壊して!ユウビ百年祭を必ず成功させるわよ!」
ヴ「!みなさん……!!」

ラクサス達の言葉にヴァイセの表情が晴れやかになったその時、「それは困るな」と言いながら、1人の男が夕断鏡の前に降り立った。

ラ「あ?」
「エニィス ゲルス ギィル」

男は何かを唱えるとラクサスを蹴り飛ばす。

ビ「うお!?」
フ「ラクサス!」
『蹴りだけで…!』

それはかなりの威力があり、どうやら先程唱えた呪文の様なもので足を強化したようだった。
ラクサスはこれ以上飛ばされないよう、地に足を付き踏ん張って止まる。

ラ「なるほど、こいつか」
ヴ「は…はい!」
ナセ「夕断の一族が末裔、ナセル
強い力を鏡に感じ参ったが…魔導の輩か。この女はつくづく余計なことを…!!」
ヴ「ひっ!」

ナセルは光のようなものが発せられた右拳をヴァイセに向かって放とうとし、エバーグリーンが彼女を護るように前に立つ。しかし、ナセルの拳を受けたのはラクサスで、ナセルの拳を防いだラクサスとの力の衝撃で辺りにもその衝撃が襲い来る。

民「きゃああ!」
ビ「エックスフォーメーション!

衝撃で吹き飛んだ木箱や樽が村の民達に降りかかる寸前でビックスローが魔法で操っている人形によって防がれる。

フ「俺も手伝おう、ビックスロー!!」
エバ「あんたは私の側に!」

フリードはビックスローに手を貸し、エバーグリーンはヴァイセに声をかけて彼女を護る。
ラクサスがナセルに向けて雷を纏った拳を繰り出す。しかし、その拳はナセルの左手で防がれ、ナセルのその掌はシュウウと音を立てる。

ナセ「邪魔をするな、雇われ風情が」
ラ「いいや、邪魔するぜ。何の理由があってテメェ等一族があの鏡を造ったのかは知らねぇがな」

ラクサスは左拳に雷を纏わせる。

ラ「家を守りたいって依頼だ…!!」

ラクサスは雷を纏った強烈な拳をナセルに叩き込んだ。

ラ「テメェが失せろ」

ラクサスの拳はナセルに当たる。フリードとビックスローがラクサスが勝利したのだと表情を明るくしたのも束の間、ラクサスの拳はナセルを捉えておらず、逆にラクサスの方がナセルの拳を左側の腹部に喰らっていた。

ビ「!?なっ!」
フ「ラクサス!」
『強敵…!』

ラ「……っ」

後ろに後ずさってしまったラクサスはすぐに体勢を立て直す。

ラ「この…!!」

ラクサスはすぐに雷を纏った拳で反撃するが、ナセルはそれを腕で受け止め、何かの術で強化されたらしい足でラクサスを蹴り飛ばす。

ラ「ぐぁっ」

ビ「マジかよ
ラクサスと互角に渡り合ってんのか!?」

ナセルに押され気味のラクサスに雷神衆やレイナ、カリンも目を見張った。

ラ「(一撃一撃に魔力を感じねぇ。魔導士じゃあねぇのか?)
妙な技使いやがって…」
ナセ「君ほど強い若者は初めてだ」
ラ「!」
ナセ「このまま引き下がってくれるとありがたいんだがね…
これは、ハマナス村と我々一族の問題だ。部外者は黙っていてもらいたい」
ラ「部外者ね。アンタの一族はこの村の出身か?
じゃあ何だ、自分の故郷ぶっ潰そうとしてんのか?何とも思わねぇのかよ、あ?」
ナセ「潰す…?故郷を…
…ああ、その神官の女が言ったのか。
耳を貸す価値はないな。私は一族の、守り手の義務を果たすのみ」
ラ「故郷いえより使命を取るってことか。アンタの生き方、癪に障るぜ……!!」

ラクサスは怒気を込めながら左拳に纏った雷をナセルに放つ。

ナセ「やはり若い。怒りまかせの攻撃など当たらん…!!」

ナセルは冷静に判断し、ラクサスから放たれた雷を右に避ける。それはナセルに当たることはなかったが、ナセルの背後にあった夕断鏡に直撃した。
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