無傷

『このでかい鏡を壊せって！？』
ヴ「はい
ハマナス村にはこの夕断鏡（ゆうだちのかがみ）と共に神殿にまつわる古い伝承が残されているんです。
〝百年に一度の黄昏を浴びし時、ユウビ神殿よりヒグレノカミが目醒めるであろう〟」
ｴﾊﾞ･ｶﾘ「ヒグレノカミ？」
ヴ「ハマナスの民の守り神と伝えられています。
ハマナスの村は百年に一度の夕日に含まれる強力な魔力を貯えることで、豊かな土地を守っていました。それが百年祭です。
しかし、遥か昔…ある一族が夕断鏡を生み出し、光を閉ざしてしまったんです。
このままじゃ、村に未来はありません…！！私の代でなんとしても祭りを成功させたいんです。
お願いします！日没までにこの鏡を…！！どうか……！！」

ヴァイセは必死にラクサス達に頼み込んだ。

ラ「魔導士に依頼を出さなきゃならねぇ程、堅牢な鏡ってわけか」

すると、ラクサスの前に雷神衆が並び立つ。フリードは腰に携えている剣を抜いている。

ラ「！おい」
フ「これは俺達が受け持とう」
ビ「モノ（・・）相手じゃあ燃えねえだろ。任せろって」
ｴﾊﾞ「私達もイイとこ見せたいしね♡」

雷神衆はそれぞれの言葉をラクサスにかける。

ヴ「みなさん……！！」
『イイとこ持ってかれるわね』
ラ「む…
でも気をつけろよ。この鏡…妙な魔力を帯びてやがる」
フ「分かっているさ」

雷神衆はそれぞれの魔法を使用する。

ビ「ラインフォーメーション！」
ｴﾊﾞ「妖精機銃レブラホーン！」
フ「術式魔法…！！」

雷神衆の放ったそれぞれの魔法が鏡を攻撃する。それに村人達からおおっと歓声が上がる。
攻撃の影響で煙が舞い、それが晴れると見えたのは傷1つ付いていない鏡があった。

雷神衆「なっ」
ラ「無傷だと！？」
『そんな…』

その時、鏡の表面周りに術式が浮かび上がり、鏡から魔力が放たれる。

ビ「うおお！？」
ｴﾊﾞ「私達の魔法を反射した！？」
ヴ「ひいっ！！」

迫ってきた魔力をビックスローは避け、周りに放たれる魔力をラクサスが雷を放電させる事で防ぎ、村人達に当たらないようにする。

ラ「ふう…っ」
ヴ「あ……ありがとうございます」
ビ「あちゃー…」
フ「すまない、ラクサス！！」
ヴ「ちょっとぉ！しっかりしてくださいよぉ！！」
フ「ぬっ！」
ｴﾊﾞ「てゆーか、反射魔法がかかってるなら言ってよね、もう……！！」
ヴ「本当に大丈夫なんですかぁ？
これじゃあ、あの男（・・・）に太刀打ちできるか不安っていうか…」
ラ「『あの男（・・・）……？』」

ハマナス村の一帯を見下ろす事ができる丘の上。そこに男が1人、村を見下ろす形で立っていた。

「ふんっ」