乙女四重奏（おとめカルテット）

ヒ「一夜さんが魅力的とは言え、どうしてこうもつけ狙うんだい？」
ﾚﾝ「マスターボブ不在の今なら、まだ冗談で済ませられるぜ」

ヒビキとレンはブリアンナにそう言う。ラクサスやレイナも真っ直ぐにブリアンナを見据えている。

ブ「愚問ねェ。
あたくしが最も美しい魔導士だからよォ♡」

ブリアンナの言葉にラクサス達6人は呆然とする。

ブ「あたくし程の美力にはそれにふさわしい伴侶がいるべきよねェ」

ブリアンナの言葉に雷神衆の3人が一夜とブリアンナをカップルとして想像する。
エバーグリーンはうんざりとした様子を見せ、フリードは嫌悪感を感じた様子を見せる。

ｴﾊﾞ「いや、まぁ…」
ビ「お似合いなんじゃね？」
ﾚﾝ「どこがだ！」
ヒ「彼女(？)が一夜さんと釣り合うわけないだろう」
イ「ラクサスさんもそう思いますよね？」

フリード以外の雷神衆2人とトライメンズがやり取りする後ろでフリードは嫌悪感にやられ、｢想像するんじゃなかった…｣と後悔に背を丸め、そんなフリードを心配そうにレイナが｢大丈夫？｣と声をかけていた。

ラ「(心底どうでもいい)
そんな理由で人1人攫ってんじゃねぇよ…。さっさと終わらせて帰るぞ」
フ「(モチベーションダダ下がりだな。わかるが…)」
『(本当なんの茶番…？)』

心底くだらなさそうにラクサスは溜息をつき、フリードはそんなラクサスの心情を察した。

ブ「あぁーら、ナメてると痛い目見るわよォ？」
「マスターブリアンナが相手するまでもありませんわ」
ラ「！！」

突如女の声が聞こえると同時にラクサスは天井にゴロゴロと雷雲が広がっていくのに気づく。

「曇天の哀歌（エレジー）！！！」

女の声は魔法を使用し、雷がラクサスに襲いかかる。

ラ「！！」
全「『ラクサス！！』」
ラ「雷雲…！？」

そして、ラクサス達の前に4人の女達が姿を現す。

ブ「あらっ、帰ってたのォ？」
ヒ「あれはまさか…
乙女四重奏（おとめカルテット）…！！」
ｴﾊﾞ「乙女四重奏？」
ビ「なんだそりゃ」

エバーグリーンとビックスローが疑問符を浮かべると、乙女四重奏と呼ばれた女達の1人が声を上げる。

リ「ええ〜〜、私達のこと知らないんですか？
乙女四重奏♪魅惑のリードでーす！」
ソ「眩惑のソネットよ♡」
カ「誑惑のカプリチア」
キ「蠱惑の…キャロル…です…」

4人の女はそれぞれそう名乗った。

ブ「アナタ達ィ！！声の伸びが甘いわよ！！」
4人「はぁい、お姉様！！」
全「『(お姉様！！？)』」
ヒ「チャラチャラしているけど油断は禁物だよ」
ビ「おまえが言うか…？」
ヒ「なにせ彼女達は、深紅の舞姫トップ4（フォー）で構成されたチーム。その連携力は聖十大魔道に匹敵するとも言われている」
ﾋﾞ･ｴﾊﾞ「！！」
ｶﾘ「聖十大魔道…そんなに強いんだ、あいつ等…」

ヒビキの説明にビックスローやエバーグリーンは驚き、カリンは意外と言うような様子を見せる。

リ「大魔闘演武は仕事で出られなかったのよねーっ」
キ「ああいう野蛮な催しには興味ありませんけど……」

相手側がそういう中で、フリードはラクサスが浮かべる表情に気づく。ラクサスは口角を上げ笑っていた。

ラ「ちったぁ骨のある奴等が出てきたじゃねぇか。
聖十大魔道ってこたぁ、手加減はいらねぇよな」

ラクサスはそう言いながら右手に稲妻を走らせる。

ラ「全力で来いよ。オレが相手になる」
ソ「深紅の舞姫トップ4の私達相手に1人でヤろうってわけ？」
キ「相当腕に自信があるのでしょう」
リ「なんかムカツクー！！」
ソ「あら、イイじゃない♡せっかくだもの楽しませて貰いましょ？」
リ「ソネットお姉ちゃん」
ソ「こういう自信満々な男ほど…
屈服させたら快感じゃない？」
ラ「やってみろよ…！！」

ラクサスは右の拳に雷を集めると相手に向かって一気に放つ。

キ「充電（フルチャージ）」
ラ「！
(オレの雷（いかずち）が吸収されて…)」

しかし、ラクサスの放った雷がキャロルの持つ魔導杖に吸収されてしまう。

キ「雷様の縛鎖環（コイルチェイン）」
ラ「！なっ
(体が！)」

キャロルの魔導杖から放たれた鎖状の雷にラクサスは捕らわれ身動きが取れなくなり、その隙にカプリチアがラクサスに斬りかかっていく。

カ「雷刀（らいとう）秘剣 迅雷！！！」
ラ「ぐはぁっ」

カプリチアの攻撃でダメージを負ったラクサスに今度はリードが魔法を放つ。

リ「サンダーメイク！！」
ラ「雷（いかずち）の造形魔法！？」
リ「〝麒麟（ジラフ）〟！！！」
ラ「……っ」
ﾋﾞ･ｴﾊﾞ「ラクサス！！」
フ「(バカな！ラクサスが雷でダメージを！？なんだあの魔法は！？)」