副官たち
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神殺鎗
檜「吉良、こいつは俺が引き受けとく。お前は雛森と乱菊さんを頼む」
吉「…いいんですか、丸投げしちゃって」
檜「誰が丸投げしろっつッた!応急処置したら鬼道で目隠ししてこっちに加勢すんだよ!
…特に乱菊さんは急がないと危ねえ。頼んだぜ、元四番隊」
吉「いつの話をしてるんですか」
檜「…いくぜ」
吉「そうしましょう」
檜佐木がアヨンに巻き付けている風死の鎖を引く。それによりアヨンが体勢を崩した隙に瞬歩で吉良が乱菊の傍に行き、そして乱菊を連れて瞬歩でその場を離れた。
ア「あ!コラァ!何ボーッとしてたんだ、アヨン!!ウシ女連れてかれたぞ!!」
瞬歩で乱菊を連れた吉良は雛森の元に戻り、鬼道を練った。
吉「縛道の七十三『倒山晶 』」
吉良の鬼道で逆四角錐状の結界が吉良、雛森、乱菊、そして冬華の姿を隠す。
吉「少し待っててくれ、雛森くん!すぐに治療する!」
雛「うん…あたしは…大丈夫…。乱菊さんを早く…」
雛森の言葉に吉良は頷く。
吉「(雛森くんだって相当まずい…。肺に肋骨が刺さるか、最悪1つは潰れてる筈だ…。だけど…)」
吉良は視線を雛森から乱菊に移す。
吉「(こっちはもっとまずい────…!
頼む…腕が鈍っててくれるなよ…!)」
『……吉良副隊長』
冬華がふと口を開いて吉良を呼ぶ。吉良は治療の為乱菊にかけている回道を止めずに視線だけを冬華に寄越す。冬華はそれは気にせずに続ける。
『桃の事は気にしないで乱菊の治療に集中して下さい。桃の方は私に任せて』
そう言って冬華は右手を腰の後ろに帯刀している斬魄刀の柄に手をかけて逆手で抜刀する。そして冬華は解号を唱えた。
『──漂え『水華』』
始解した冬華の斬魄刀「水華」の刀身が水と化す。冬華は残った柄を素早く逆手から持ち替えてから雛森に向け、刀身である水を操り雛森の上に水球を創る。
『待ってろ桃、すぐに治してやる。
〝癒しの雫〟』
雛森の上に冬華が創った水球から一滴の雫が雛森に落ちる。そして、次の瞬間には雛森の苦しげな表情は抜け落ちていた。
冬華は一滴の雫を落として水球の形を崩していた水を柄に集め、始解前の形に戻すと鞘に収めた。
『桃の折られた骨を修復させた。完全に傷が治ったわけじゃねえ。安静にしてろよ』
雛「うん…ありがとう、冬華ちゃん」
『…………』
戦闘不能となってしまった乱菊と雛森を治療する吉良と彼らを護衛する冬華を除いて、檜佐木がアヨンと戦闘を行ったが鬼道も効かず、射場による後ろからの不意打ちも不気味な目が現れ虚閃を放たれた事で駆けつけた副隊長は吉良以外の全員が戦闘不能となってしまう。
治療を続ける吉良とそれを護衛する冬華の元に1歩1歩、アヨンは近づいていく。冬華は水華の柄に右手をかける。
吉「…く…来る…!
くそっ…あと少しなのに……。あと少し……!」
「卍解『神殺鎗』」
突如、アヨンの左胸に大きな孔が開く。それはさながら何科に抉られたかのようである。
突然の事に驚く吉良と冬華の耳に聞き慣れた京都弁が聞こえてくる。それと同時に、吉良の目の前にはいつも後ろから眺めている「三」の漢数字が刻まれた隊首羽織がはためく。
吉「…………!…い…市丸……隊長……!!」
ギ「やれやれ…こらアカン。副隊長が全滅なんてシャレにならへんで」
吉「も…申し訳ありません…!」
ギ「イヅル、ボクに頭下げる暇があったら、早う乱菊達を治療したって」
吉「は、はい…!」
吉良が治療を再開したのを見遣ったのち、ギンはアヨンを真っ直ぐに見据える。そんなギンは、不気味な程にいつもと変わらぬ笑みを浮かべている。しかし、霊圧知覚に敏感な冬華だけはギンの押さえ込んでいる霊圧が怒りに振るえているのを感じていた。
『(吉良副隊長は感じてないようだが……市丸隊長が怒るのも当然だ。乱菊がやられたんだからな……。私だって乱菊も桃までやられて腸 が煮えくり返りそうなんだ……!!)』
ギンが真っ直ぐに見据えるアヨンは、左胸に大きく孔が開いたにもかかわらず死んではいない。それどころか、自信を傷つけたことに対する怒りのままにギンへと攻撃を繰り出そうとまでしている。
『…そんな……!あの状態で……死なないのか……』
ギ「…ふーん…。…どうやら、仕置が足らへんようやな。
………そやけどもう終わりや」
ギンはアヨンの孔が開いた左胸にそっと手を添えると、その解号を口にした。
ギ「〝死 せ〟〝神殺鎗〟」
ギンが解号を唱えた瞬間、アヨンの身体には大きな孔が開き、容易に崩れ落ちる。
ギ「イヅル、まだや。結界を強う張り」
治療の傍らで息を飲んだ吉良にギンは告げる。そしてその直後、隻腕となったアパッチ、ミラ・ローズ スンスンが向かってきた。
『漂え『炎華』!!』
冬華の始解した「炎華」の炎が向かってきた3人を包み込み焼き尽くす。
『簡単には殺さねえ…。火傷程度で済ましてある…それ程私の怒りは深い……』
炎華の炎に焼かれた3人は重力に従うかのように落下していく。
落下した3人が起き上がってこないのを確認して冬華は炎華の刀身を戻して鞘に収めた。
『………』
ギ「さすがやなァ。まあ、総隊長には及ばへんやろうけど」
『当然です。総隊長の炎は比べ物になりませんから。
…それより、市丸隊長のさっきのは……?』
ギ「ん?ああ、あれ?」
ギンは手に持っている自身の斬魄刀を掲げて見せる。その斬魄刀には中央が少し欠けているようだった。
ギ「見える?ここ、欠けてんの。さっき、あのアヨンって子ん中に置いてきたんや」
『…?』
ギ「イヅルには話したんやけど、ボクの卍解は長さでも伸縮の速さでもあらへん。ただ、伸び縮みする時一瞬だけ塵になる。そして刃の内側に 細胞を溶かし崩す猛毒があるんや。
刀が持つ猛毒で相手を仕留める。それがボクの卍解の真の能力や。
それでさっき、アヨンって子の胸を貫いてから刀を戻す時、一欠 だけ塵にせんとアヨンって子ん中に残してきたんや」
ギンはフッと笑みを浮かべて、斬魄刀を鞘に収めた。
吉「お疲れ様です、市丸隊長。ありがとうございました」
吉良は降り立ったギンに声をかける。
ギ「乱菊達の様子はどうや?」
吉「松本さんは応急処置までは何とか…雛森くんも冬華くんが斬魄刀の能力で治療してくれたので今のところは大丈夫です」
ギ「そうか…
ここはボクと冬華ちゃんが守ったるさかい、イヅルは気にせんで治療を続けといて」
吉「はい!」
檜「吉良、こいつは俺が引き受けとく。お前は雛森と乱菊さんを頼む」
吉「…いいんですか、丸投げしちゃって」
檜「誰が丸投げしろっつッた!応急処置したら鬼道で目隠ししてこっちに加勢すんだよ!
…特に乱菊さんは急がないと危ねえ。頼んだぜ、元四番隊」
吉「いつの話をしてるんですか」
檜「…いくぜ」
吉「そうしましょう」
檜佐木がアヨンに巻き付けている風死の鎖を引く。それによりアヨンが体勢を崩した隙に瞬歩で吉良が乱菊の傍に行き、そして乱菊を連れて瞬歩でその場を離れた。
ア「あ!コラァ!何ボーッとしてたんだ、アヨン!!ウシ女連れてかれたぞ!!」
瞬歩で乱菊を連れた吉良は雛森の元に戻り、鬼道を練った。
吉「縛道の七十三『
吉良の鬼道で逆四角錐状の結界が吉良、雛森、乱菊、そして冬華の姿を隠す。
吉「少し待っててくれ、雛森くん!すぐに治療する!」
雛「うん…あたしは…大丈夫…。乱菊さんを早く…」
雛森の言葉に吉良は頷く。
吉「(雛森くんだって相当まずい…。肺に肋骨が刺さるか、最悪1つは潰れてる筈だ…。だけど…)」
吉良は視線を雛森から乱菊に移す。
吉「(こっちはもっとまずい────…!
頼む…腕が鈍っててくれるなよ…!)」
『……吉良副隊長』
冬華がふと口を開いて吉良を呼ぶ。吉良は治療の為乱菊にかけている回道を止めずに視線だけを冬華に寄越す。冬華はそれは気にせずに続ける。
『桃の事は気にしないで乱菊の治療に集中して下さい。桃の方は私に任せて』
そう言って冬華は右手を腰の後ろに帯刀している斬魄刀の柄に手をかけて逆手で抜刀する。そして冬華は解号を唱えた。
『──漂え『水華』』
始解した冬華の斬魄刀「水華」の刀身が水と化す。冬華は残った柄を素早く逆手から持ち替えてから雛森に向け、刀身である水を操り雛森の上に水球を創る。
『待ってろ桃、すぐに治してやる。
〝癒しの雫〟』
雛森の上に冬華が創った水球から一滴の雫が雛森に落ちる。そして、次の瞬間には雛森の苦しげな表情は抜け落ちていた。
冬華は一滴の雫を落として水球の形を崩していた水を柄に集め、始解前の形に戻すと鞘に収めた。
『桃の折られた骨を修復させた。完全に傷が治ったわけじゃねえ。安静にしてろよ』
雛「うん…ありがとう、冬華ちゃん」
『…………』
戦闘不能となってしまった乱菊と雛森を治療する吉良と彼らを護衛する冬華を除いて、檜佐木がアヨンと戦闘を行ったが鬼道も効かず、射場による後ろからの不意打ちも不気味な目が現れ虚閃を放たれた事で駆けつけた副隊長は吉良以外の全員が戦闘不能となってしまう。
治療を続ける吉良とそれを護衛する冬華の元に1歩1歩、アヨンは近づいていく。冬華は水華の柄に右手をかける。
吉「…く…来る…!
くそっ…あと少しなのに……。あと少し……!」
「卍解『神殺鎗』」
突如、アヨンの左胸に大きな孔が開く。それはさながら何科に抉られたかのようである。
突然の事に驚く吉良と冬華の耳に聞き慣れた京都弁が聞こえてくる。それと同時に、吉良の目の前にはいつも後ろから眺めている「三」の漢数字が刻まれた隊首羽織がはためく。
吉「…………!…い…市丸……隊長……!!」
ギ「やれやれ…こらアカン。副隊長が全滅なんてシャレにならへんで」
吉「も…申し訳ありません…!」
ギ「イヅル、ボクに頭下げる暇があったら、早う乱菊達を治療したって」
吉「は、はい…!」
吉良が治療を再開したのを見遣ったのち、ギンはアヨンを真っ直ぐに見据える。そんなギンは、不気味な程にいつもと変わらぬ笑みを浮かべている。しかし、霊圧知覚に敏感な冬華だけはギンの押さえ込んでいる霊圧が怒りに振るえているのを感じていた。
『(吉良副隊長は感じてないようだが……市丸隊長が怒るのも当然だ。乱菊がやられたんだからな……。私だって乱菊も桃までやられて
ギンが真っ直ぐに見据えるアヨンは、左胸に大きく孔が開いたにもかかわらず死んではいない。それどころか、自信を傷つけたことに対する怒りのままにギンへと攻撃を繰り出そうとまでしている。
『…そんな……!あの状態で……死なないのか……』
ギ「…ふーん…。…どうやら、仕置が足らへんようやな。
………そやけどもう終わりや」
ギンはアヨンの孔が開いた左胸にそっと手を添えると、その解号を口にした。
ギ「〝
ギンが解号を唱えた瞬間、アヨンの身体には大きな孔が開き、容易に崩れ落ちる。
ギ「イヅル、まだや。結界を強う張り」
治療の傍らで息を飲んだ吉良にギンは告げる。そしてその直後、隻腕となったアパッチ、ミラ・ローズ スンスンが向かってきた。
『漂え『炎華』!!』
冬華の始解した「炎華」の炎が向かってきた3人を包み込み焼き尽くす。
『簡単には殺さねえ…。火傷程度で済ましてある…それ程私の怒りは深い……』
炎華の炎に焼かれた3人は重力に従うかのように落下していく。
落下した3人が起き上がってこないのを確認して冬華は炎華の刀身を戻して鞘に収めた。
『………』
ギ「さすがやなァ。まあ、総隊長には及ばへんやろうけど」
『当然です。総隊長の炎は比べ物になりませんから。
…それより、市丸隊長のさっきのは……?』
ギ「ん?ああ、あれ?」
ギンは手に持っている自身の斬魄刀を掲げて見せる。その斬魄刀には中央が少し欠けているようだった。
ギ「見える?ここ、欠けてんの。さっき、あのアヨンって子ん中に置いてきたんや」
『…?』
ギ「イヅルには話したんやけど、ボクの卍解は長さでも伸縮の速さでもあらへん。ただ、伸び縮みする時一瞬だけ塵になる。そして
刀が持つ猛毒で相手を仕留める。それがボクの卍解の真の能力や。
それでさっき、アヨンって子の胸を貫いてから刀を戻す時、
ギンはフッと笑みを浮かべて、斬魄刀を鞘に収めた。
吉「お疲れ様です、市丸隊長。ありがとうございました」
吉良は降り立ったギンに声をかける。
ギ「乱菊達の様子はどうや?」
吉「松本さんは応急処置までは何とか…雛森くんも冬華くんが斬魄刀の能力で治療してくれたので今のところは大丈夫です」
ギ「そうか…
ここはボクと冬華ちゃんが守ったるさかい、イヅルは気にせんで治療を続けといて」
吉「はい!」
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