市丸の決心

藍「朽木ルキア。君が現世で発見された時、真っ先に僕が行った事。それが四十六室の抹殺だ」
ル「え…？」
藍「君達は恐らく、勇音くんからこう聞いているはずだ。〝藍染惣右介は死を装って行方をくらませ、然る後に四十六室を殺害した〟と。だが、それは間違いだ。君が発見されてすぐに僕は四十六室を殺し、〝中央地下議事堂全体〟に鏡花水月をかけた。〝四十六室が生きて会議を続けている状態〟に見えるようにしたんだ。そうして僕は、常に3人の内1人を地下議事堂に置き、それ以降、今に至るまで四十六室を演じ続け、全ての命令を操り続けた。
捕縛を確実にするために君の捕縛役を六番隊の2人に替え、君を人間から遠ざける為に義骸の即時返却、破棄を命じ、君の魂魄を完全に蒸発させ、内部から『崩玉』を取り出す為に、双極を使って君を処刑することを決めた。
僕達が地下議事堂を完全に空けたのは、2度の隊首会を含む前後数時間だけだ。死を装って地下議事堂に潜伏したのはその直後。君達の働きで処刑が失敗する可能性が出てきたと判断したからだ」

藍染の話を聞いている一護の顔は驚きで染まり、目は大きく見開かれている。

藍「魂魄に直接埋め込まれた異物質を取り出す方法は2つしかない。
双極の様に超々高度の熱破壊能力で外殻である魂魄を蒸発させて取り出すか、何らかの方法で魂魄組成に直接介入して強制的に分離させるか。
万一、双極での処刑が失敗した場合、そのもう1つの方法を見つけなければならない。その為に必要だったのが、地下議事堂の大霊書回廊に納められている情報だった。
僕は、浦原喜助の過去の研究を1つずつ細かに調べ上げた。魂魄へと異物質理没を編み出したのは彼だからね。ならば、それを取り出す技術も彼の過去の研究の中に必ず隠れていると読んだ」

藍染が懐から出した物のスイッチを押す。

藍「…そう」

すると、地面から緑の植物のようなものが藍染とルキアの周りに6つ出てきて、藍染が懐から出したものを持っていた右手も緑色となっていた。

藍「これがその 一「…待────」解（こたえ）だ」

藍染の右腕がルキアの胸を貫く。そして、藍染がその右腕をルキアから抜くと、その手には『崩玉』が握られていた。

藍「…驚いたな。こんな小さなものなのか…
これが『崩玉』…」

藍染の右手が元に戻り、ルキアの胸に空いた穴も塞がっていく。

一「(…傷が…消える………！)」
藍「…ほう。魂魄自体は無傷か。素晴らしい技術だ。
…だが残念だな。君はもう用済みだ。殺せ、ギン」
ギ「…しゃあないなァ」

ギンは神槍を抜く。

ギ「(やっとや…やっと─────)」

するとギンは瞬歩で藍染のそばに行き、鏡花水月の刀身に触れるとギンは始解ではない違う事を口にした。

ギ「────卍解 神殺鎗（かみしにのやり）」

ギンの卍解した神殺鎗が藍染の胸を貫く。その光景にその場にいた全員が驚いた。それもそのはずで、皆が今までギンのことを藍染に加担する敵だと認識していたのだ。そして、藍染の命令に従いルキアを殺すのかと思えば、ギンは今藍染のの胸を貫いている。

ギ「やっと、藍染隊長を殺す事ができはりますわ」
藍「…ギン、まさかこの程度で殺せると？」
ギ「当然────…思うてませんよ？
せやから───」

ギンはそう言うと、神殺鎗を藍染から抜き自身の左手を神殺鎗が貫いた傷部分にあてがう。そして、ある解号を口にする。

ギ「〝死（ころ）せ〟 〝神殺鎗〟」

その瞬間、藍染の胸に大きな穴があく。

ギ「胸に孔（あな）があいて死ぬんや。本望ですやろ」

藍染は後ろへと倒れた。

ギ「(終わりや…
これで終わり───…)」

ギンがそう思ったのも束の間の事。

『市丸隊長！
藍染はまだ───…！！』

瞬歩で双極の丘に現れた冬華がそう声をかけたものの、気づけばギンの視界は赤く、自身の血で染まった。そこには、五体満足の藍染が立っていた。