修業方法

『〝土〟と〝水〟の2つの〝性質変化〟を同時に行い、〝木〟の性質を新たに発生させるの』
ヤ「右手に〝土〟、左手に〝水〟」

ヤマトは巳の印を組む。すると、土流城壁で大きく隆起した壁から木が生えてくる。

ナ「すげー…」
ヤ「2つの〝性質変化〟を持ってる場合、それぞれを独立して使うのは大して難しくない。
だけど2つの〝性質変化〟を同時に発生させるとなると話は別…」
『2つの〝性質変化〟を同時に扱い新たな〝性質変化〟を生み出す力を…〝血継限界〟って言うのよ。その言い方ぐらいは聞いたことあるでしょ？』
ナ「うん…」

アカネの問いにナルトは頷く。今度はカカシが説明する。

カ「かつて戦った白（ハク）という少年もそうだ。彼は〝氷（ひょう）遁〟という〝血継限界〟を使えたんだが、〝風〟と〝水〟の2つの〝性質変化〟を同時に用いて〝氷〟を発生させた。
あれは〝血継限界〟を持つ一族だから出来る特別な術だ」
ナ「あの白も…」
カ「だからオレの〝写輪眼〟でもコピー出来なかったんだ」
ナ「……。それじゃあさ、シカマルの〝影真似〟とかチョウジの〝倍化の術〟はどうなんの？それにさ、医療忍術とか幻術はどうなっちまうの？」

ナルトは一気にカカシに問いかける。

カ「んー。その説明にはまた時間がかかるし、1度に話すと混乱するからな…」
ヤ「…カカシ先輩、〝陰〟と〝陽〟の〝性質変化〟についてはまた今度にしたらどうです？」
ナ「イン？ヨウ？…何だってば？」
カ「…そうだな。
今言ってもどうせお前には分からん。さて、どこまで話したっけな…」
ナ「何か、修業の時間をずるしまくる方法って…」
『フッ……』
カ「ハァ…。短縮するだ」

ナルトの言い方にアカネは必死に笑いを堪えている。
カカシは訂正するが、笑いを堪えているアカネを見て｢お前って意外と変なところでツボにはまるよね…｣と若干呆れていた。

ナ「で、どうやって？」

カカシは左の人差し指を立てる。

カ「それはな…多重影分身だ」
ナ「え？」
カ「いやだから、多重影分身なんだよ。実は」
ナ「何が？」
カ「だから、修業時間を短縮する方法だよ」
ナ「んー…全然分かんないってばよ」
カ「ハァ…じゃあこれから説明するからちゃんと聞けよ？」
ナ「オッス！なるべく簡単によろしくするっス！」
カ「ハイハイ…。アカネ、よろしく…」
『結局私に丸投げですか…。ハァ…わかりました』

分からないと言うナルトにカカシではなく、アカネが1から説明する。

『いい？
影分身の術がただの分身と違って、実体そのものを作り出す忍術だっていうのは知ってるわね？』
ナ「もちろん知ってるってばよ？」
『ま、自分のコピー人間を生み出す術とも言えるわね。私も貴方程ではないけど影分身を使えるから分かるんだけど…この術には術者に及ぼすある特別な効果があるわ。
貴方もいつも使っているらしいから気づいてるとは思うけど…影分身の分身体が経験したコトは術が解け術者であるオリジナル1人に戻った時、その術者の経験として蓄積されるの』
ナ「……」

ナルトの頭に？（ハテナ）が浮かぶ。そして、文句を垂れる。

ナ「簡単にって言ったじゃん」
『ハァ…気付いてなかったのね…』
ナ「っつーかさぁ、言ってる意味、ひとっつも分かんねーってばよ」
『……。ハァ…カカシさん、お手上げです。あとは任せます』

ナルトの理解力の低さに呆れたアカネは、溜息をつき、両手を上げカカシに匙を投げた。

カ「ハァ…んー…なら2人でとにかく影分身をやってみるぞ。あぁ、1体でいいからな」
ナ「ヘイ」

カカシとナルトは両手の人差し指と中指を立て、交差させる。

ｶ･ﾅ「影分身の術！」

そして、お互いに分身体を1体ずつ出した。

カ「よし！じゃあオリジナル側と影分身側の2組に分かれて…」

カカシの分身がナルトの分身を手招きする。ナルトの分身はカカシの分身の方へと寄る。

ｶ(分)「影分身の組は向こうの林の中に隠れる。影分身のナルトはついて来い」

分身体のカカシとナルトは林の中へと向かって行った。それと同時に、ヤマトもオリジナルのカカシとナルトの後ろ、アカネの左横に降り立った。
アカネは感心したとでも言うように呟いた。

『普通にこうすれば良かったわけですね…』
ヤ「ハハハ…ナルトへの説明は難しいからね…」

2人が後ろでそうやり取りをしていると、ナルトが焦れたようにカカシに問いかける。

ナ「影分身の方は何してんだってばよ？」
カ「もうすぐ分かる」

そして、林の中で影分身が消えたらしく、ナルトが反応する。

カ「奴らは何をしていた？」
ナ「一楽ラーメン、カカシ先生の奢りだってばよ！
ジャンケンに勝ったからねー！」
カ「勝手に約束しやがって…。
これで分かっただろ？影分身の経験値はオリジナルの中に蓄積されていく」
ナ「なるほど…。今まで何となく影分身してたから全然気がつかなったってばよ」
カ「本来この術は危険な場所への偵察や敵アジトに潜入して情報収集に使う術でもあるからな」
ナ「でもそれが分かったからって修業期間の短縮とどう関係があるんだってばよ？」
カ「ハイハイ、これから説明するって」

カカシはヤマトとアカネの方を向く。

カ「自来也様、螺旋丸なんて術をよくこの子に教え込めたもんだよ…。まったく」

ヤマトはそれを聞き頷き、アカネも頷き｢まったくです｣と言っている。
ナルトは待ちきれずにカカシを急かす。カカシはナルトの方に向き直る。