暴走

橋がさらに崩壊し始める。サクラは気絶しており、重力に逆らうことなく落ちていきそうな橋に逆らえず、共に落ちていきそうになる。

ヤ「サクラ！」

崩壊する橋から飛び上がった大蛇丸をナルトが追いかける。

ｻｲ「(なんてチャクラだ…。それに、一人勝手に暴走するとは…。なら、これは絶好のチャンス。
いよいよ…。ここからが極秘任務のスタートだ)」

橋が崩壊するにつれ、サクラも下に落ちそうになる。そんなサクラにヤマトも呼びかける。

ヤ「サクラ！返事をしろ！
(さっき倒れた時に頭を打ったのか！？こんな時に気絶なんて…！)」

橋の崩壊が酷くなる。ヤマトとアカネは巳の印を結ぶ。

ヤ「『木遁の術！』」

ヤマトとアカネは木遁で崩壊寸前の橋を支える。
だが──

『っ…！』
ヤ「くっ…。
(支えきれない…)」

そんな中、サイは巻物に筆で絵を描く。そして…

ｻｲ「忍法・超獣偽画（ちょうじゅうぎが）」

巻物から飛び出した鳥にサイは飛び乗る。

ヤ「サイ！」

ヤマトとアカネの木遁が支えきれず、少し揺れる。その反動でサクラが下に落ちる。

『！』
ヤ「サイ！！サクラを…！」

ヤマトはサクラを受け止めるように言うが、サイは上昇し、サクラを助けようとはしない。

ヤ「…ったく」

ヤマトは地に手を付き、木遁の木をサクラの方へ伸ばす。そして、サクラを受け止めた。

『(やはりサイは…)』

暫くすると、大蛇丸とナルト、そしてその2人を追って行ったサイが居る森の方で爆発音がした。

ヤ「…！」
『(このチャクラの感じ…やばいかも…)」

下から引き上げたサクラにヤマトが呼びかける。

ヤ「サクラ！しっかりしろ！おい、サクラ！」

サクラが目を覚ます。

ヤ「大丈夫か？」
ｻｸ「…はい。痛（つ）っ！」

起き上がったサクラは頭を抑える。

ヤ「…おい！」
『ほんとに大丈夫？』
ｻｸ「すいません…。もう大丈夫です…。
！これって…？」

橋の惨状を見たサクラは問いかける。

ヤ「ナルトがやったのさ」
ｻｸ「ナルトは！？」
『橋の向こう側よ。…大蛇丸と一緒に』

ナルト達がいる方から煙が上がっているのが見える。

ｻｸ「あの煙は…？」
ヤ「(嫌な予感がする…)」

ヤマトとアカネは午（うま）、申（さる）、巳の順に印を結び、術を発動する。

ヤ「『木分身の術！』」
ｻｸ「！
(アカネさんも木遁を…？)」
『私のも一緒に行かせます』

ヤマトとアカネから木分身が出てくる。2人の分身は、橋の向こう側へと向かった。
だがその直後に、木々が森の方から飛んでくる。2人の分身はそれぞれに術を発動した。

ﾔ(分)「木遁・木錠壁（もくじょうへき）！」
(分)「『水遁・水陣壁！』」

ヤマトの分身は木製の半ドームで、アカネの分身は360度を水の壁で覆い、それぞれ身を守った。

ｻｸ「(ナルト…！)」