小さな命あなたを救うのは私
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帝王切開
翌日、田中陽子さんの件でカンファレンスが開かれた。
下「田中陽子さん、34歳。ご夫婦共に妊娠の継続を強く希望されてる為、絶対安静の処置をとっています」
席についた下屋に新生児科に新しく赴任した新井恵美が質問する。
新「この患者、破水の前日に検診を受けてるのよね?」
下「はい」
新「その時に何か手は打てなかったの?」
下「その時は特に異常な所見は無いと思いました」
新「〝思いました〟?それ感想ですか?」
下「………」
今「新井先生、切迫流産を事前に診断する事は困難ですから」
新「わかってます。でも、腹部の張りと痛みを訴えてたわけですから、何らかの危機意識を持つべきではないんですか?」
下屋は新井の発言に黙り込んでしまう。
『(確かに困難だけど、新井先生の言ってる事は尤もよね…)』
四「両親の覚悟は確かなのか?」
下「えっ?」
四「産まれてくる子は超低体重児だ。肺や脳に後遺症が出る可能性が高い。
その現実を、どれだけしっかり把握できているかどうか…引っかかるけど」
下「それは、大丈夫だと思いま──…大丈夫です。何があっても受け止めるとおっしゃっています」
四「そりゃ今は、子供を助けたいと思うさ。でも、産まれた後にやっぱり受け入れられないとなると…その方が悲劇だろう」
鴻「でも、決めるのは家族だからね。僕らはその決断に対して、全力でサポートするしかないよ」
四「………」
今「四宮先生の懸念もわかります。実際NICUには、面会に来なくなる親もいますから」
『…………』
その場に一瞬、沈黙が訪れる。その静寂を下屋が断ち切る。
下「でも、田中さんの場合、ご主人が出産にとても前向きなんです。
ご両親と早くに死別されて、奥様の実家にも結婚を反対されて以来行き来が無くて、夫婦2人だけで支え合ってきたんです。だから、絆は強いと思います」
新「〝思います〟。またそれも感想ね」
下屋の表情は曇ったままだった。
それから6日後、田中さんは22週0日を無事に迎えた。目標の24週まで後2週間ある。
そして、それから更に10日後、23週3日を迎えた時それは起こった。田中さんは23週で陣痛が来てしまったのだ。
下屋は田中夫婦の要望を聞き入れ、リスクはあるが帝王切開を行う事を決断した。
翌日、田中陽子さんの件でカンファレンスが開かれた。
下「田中陽子さん、34歳。ご夫婦共に妊娠の継続を強く希望されてる為、絶対安静の処置をとっています」
席についた下屋に新生児科に新しく赴任した新井恵美が質問する。
新「この患者、破水の前日に検診を受けてるのよね?」
下「はい」
新「その時に何か手は打てなかったの?」
下「その時は特に異常な所見は無いと思いました」
新「〝思いました〟?それ感想ですか?」
下「………」
今「新井先生、切迫流産を事前に診断する事は困難ですから」
新「わかってます。でも、腹部の張りと痛みを訴えてたわけですから、何らかの危機意識を持つべきではないんですか?」
下屋は新井の発言に黙り込んでしまう。
『(確かに困難だけど、新井先生の言ってる事は尤もよね…)』
四「両親の覚悟は確かなのか?」
下「えっ?」
四「産まれてくる子は超低体重児だ。肺や脳に後遺症が出る可能性が高い。
その現実を、どれだけしっかり把握できているかどうか…引っかかるけど」
下「それは、大丈夫だと思いま──…大丈夫です。何があっても受け止めるとおっしゃっています」
四「そりゃ今は、子供を助けたいと思うさ。でも、産まれた後にやっぱり受け入れられないとなると…その方が悲劇だろう」
鴻「でも、決めるのは家族だからね。僕らはその決断に対して、全力でサポートするしかないよ」
四「………」
今「四宮先生の懸念もわかります。実際NICUには、面会に来なくなる親もいますから」
『…………』
その場に一瞬、沈黙が訪れる。その静寂を下屋が断ち切る。
下「でも、田中さんの場合、ご主人が出産にとても前向きなんです。
ご両親と早くに死別されて、奥様の実家にも結婚を反対されて以来行き来が無くて、夫婦2人だけで支え合ってきたんです。だから、絆は強いと思います」
新「〝思います〟。またそれも感想ね」
下屋の表情は曇ったままだった。
それから6日後、田中さんは22週0日を無事に迎えた。目標の24週まで後2週間ある。
そして、それから更に10日後、23週3日を迎えた時それは起こった。田中さんは23週で陣痛が来てしまったのだ。
下屋は田中夫婦の要望を聞き入れ、リスクはあるが帝王切開を行う事を決断した。