2つの手がつなぐ奇跡
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1番嬉しいのは──
そして、木村さんの手術は母子ともに無事という結果に終わり、木村さんは病室へ運ばれた。
医局のデスクに四宮は呆然とした様子で座っていた。そこに鴻鳥が入ってくる。
鴻「四宮」
四「……」
鴻「良かったよ、無事に子宮を残せて」
四「…………
出血が止まって、助かった。
運が良かったな。…今回は。…患者も……俺達も」
鴻鳥はソファに座りながら話す。
鴻「僕はね、どんなハイリスクな出産でもなんの問題もなさそうなお産でも、赤ちゃんが無事に産まれてくれたらいつだって奇跡だって思ってるよ。
お産に絶対なんて、ないからね」
2人の間に沈黙が流れた時、下屋が医局に入ってくる。その後に優香も戻ってくる。
下「良かったですね、無事に終わって」
四宮は下屋に応えず、医局を出て行った。
下「え?
何なんですか?四宮先生」
鴻「ん?」
下「嬉しくないんですかね?赤ちゃんもお母さんも無事だったのに」
鴻「………」
『…?』
小「緊急オペ、お疲れ様でした〜」
小松が袋を持って医局に入ってくる。
小松は鴻鳥にはカップ焼きそば、下屋には焼肉丼、四宮にはジャムパンと牛乳を渡していく。ただし、四宮はいない為四宮の分は机上に置かれる。
小「翠原先生は何がいいかわからなかったけど──」
『いえ、私は結構です』
小「まあまあ、そう言わずに。はい、鮭おにぎりとおかかおにぎり!」
『………まあ、頂いておきます…』
優香は素っ気なくしながらも小松から2種類のおにぎりを受け取った。
下「鴻鳥先生、オペ中に話してた5年前の患者ってなんの事ですか?」
小「ん?5年前がどうかした?」
『………』
下「オペ中に取り乱すのって四宮先生らしくないなって思ったんです。あんなに、子宮摘出に拘るのも行き過ぎてる感じがしました」
鴻鳥は少しの沈黙の後、話し出す。
鴻「下屋は気づいてた?四宮が小児科病棟に通ってる事」
下「あ…知り合いの子でもいるのかな?って思ってましたけど」
小「はっ…!まさか隠し子とか。…まさかね」
下「はい」
『………』
鴻「小児病棟にいるのは、四宮の…その5年前の患者なんです」
四宮の5年前にあった事が鴻鳥の口から語られる。
四宮の指示を守らず、喫煙をやめなかった妊婦が母子とも危険な状態に陥り産婦は死亡、産まれた子も一生意識が戻らない脳の重度障害を負い、子の父親も娘を見捨てて逃げてしまったという事だった。
鴻「それで四宮は、誰も訪れない子供の病室に5年間、毎日通い続けてるんだよ。あの家族を不幸にしたと、自分を責め続けて。
だから今日の手術が無事に終わって、1番嬉しいのは、四宮なんだ」
『………』
一方、木村さんの病室に向かった後、小児病棟にやって来た四宮は5年前の患者であるつぼみちゃんの病室を訪れていた。
四「つぼみちゃん、先生今日ね…ちょっといい事があったんだよ」
つぼみちゃんの頭を撫でる四宮の表情は柔らかかった。
そして、木村さんの手術は母子ともに無事という結果に終わり、木村さんは病室へ運ばれた。
医局のデスクに四宮は呆然とした様子で座っていた。そこに鴻鳥が入ってくる。
鴻「四宮」
四「……」
鴻「良かったよ、無事に子宮を残せて」
四「…………
出血が止まって、助かった。
運が良かったな。…今回は。…患者も……俺達も」
鴻鳥はソファに座りながら話す。
鴻「僕はね、どんなハイリスクな出産でもなんの問題もなさそうなお産でも、赤ちゃんが無事に産まれてくれたらいつだって奇跡だって思ってるよ。
お産に絶対なんて、ないからね」
2人の間に沈黙が流れた時、下屋が医局に入ってくる。その後に優香も戻ってくる。
下「良かったですね、無事に終わって」
四宮は下屋に応えず、医局を出て行った。
下「え?
何なんですか?四宮先生」
鴻「ん?」
下「嬉しくないんですかね?赤ちゃんもお母さんも無事だったのに」
鴻「………」
『…?』
小「緊急オペ、お疲れ様でした〜」
小松が袋を持って医局に入ってくる。
小松は鴻鳥にはカップ焼きそば、下屋には焼肉丼、四宮にはジャムパンと牛乳を渡していく。ただし、四宮はいない為四宮の分は机上に置かれる。
小「翠原先生は何がいいかわからなかったけど──」
『いえ、私は結構です』
小「まあまあ、そう言わずに。はい、鮭おにぎりとおかかおにぎり!」
『………まあ、頂いておきます…』
優香は素っ気なくしながらも小松から2種類のおにぎりを受け取った。
下「鴻鳥先生、オペ中に話してた5年前の患者ってなんの事ですか?」
小「ん?5年前がどうかした?」
『………』
下「オペ中に取り乱すのって四宮先生らしくないなって思ったんです。あんなに、子宮摘出に拘るのも行き過ぎてる感じがしました」
鴻鳥は少しの沈黙の後、話し出す。
鴻「下屋は気づいてた?四宮が小児科病棟に通ってる事」
下「あ…知り合いの子でもいるのかな?って思ってましたけど」
小「はっ…!まさか隠し子とか。…まさかね」
下「はい」
『………』
鴻「小児病棟にいるのは、四宮の…その5年前の患者なんです」
四宮の5年前にあった事が鴻鳥の口から語られる。
四宮の指示を守らず、喫煙をやめなかった妊婦が母子とも危険な状態に陥り産婦は死亡、産まれた子も一生意識が戻らない脳の重度障害を負い、子の父親も娘を見捨てて逃げてしまったという事だった。
鴻「それで四宮は、誰も訪れない子供の病室に5年間、毎日通い続けてるんだよ。あの家族を不幸にしたと、自分を責め続けて。
だから今日の手術が無事に終わって、1番嬉しいのは、四宮なんだ」
『………』
一方、木村さんの病室に向かった後、小児病棟にやって来た四宮は5年前の患者であるつぼみちゃんの病室を訪れていた。
四「つぼみちゃん、先生今日ね…ちょっといい事があったんだよ」
つぼみちゃんの頭を撫でる四宮の表情は柔らかかった。