2つの手がつなぐ奇跡
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マタ旅
『へぇー…あの藍沢が?何、黒田先生のやり方で育ててんの?』
白【わからないけど、でも…信頼してる上級医に「よくやった」って褒められると嬉しかったでしょ?】
『まぁね…。…でもこれでフェローが育てばいいけど』
ペルソナの産婦人科医局で休憩中だった優香は翔北の白石と通話していた。
白【そっちは?順調そう?】
『まぁね。でも、配属されてすぐに交通事故に巻き込まれた妊婦が運ばれて来てね…。母親の方は助けられなかったわ…』
白【そっか…。先生達は?】
『良い人ばかり。まぁ、1人藍沢に似てる奴いるけど。あ、あと男だけど白石に似てる奴もいる』
白【苦労してないみたいでよかった!それじゃあ、またね】
『えぇ、また』
優香は通話を終え、スマホをスクラブのズボンのポケットにしまった。
優香はその後、昼食の為食堂に向かい、鴻鳥が担当している患者が海外旅行をしようとしていた事を下屋、小松、助産師の角田真弓と共に聞いた。
ちなみに、優香は鴻鳥達と同じテーブルにはついていない。下屋、角田の座っている後ろのテーブルで鴻鳥達に背を向ける位置に座っている。
つまりは藍沢の様な感じで座っている。
下「ああ、それ今流行りのマタ旅ですね」
鴻「マタ旅…?」
角「マタニティ旅行。今ブームなんですよ」
鴻「えっ?」
小「ああ、妊娠中のリフレッシュとか出産前の思い出作りとかって旅に出るやつね」
鴻「えっ?」
下「まあ、妊娠中は精神的にも不安定になりますし、リフレッシュも悪くないとは思います」
小「でもねぇ…旅先で救急搬送される妊婦さん結構いるんだよ」
そこに下屋の同期であり新生児科の研修医である白川領が下屋の隣の席につく。
白「リフレッシュとかお気楽なこと言ってんなよな」
鴻「白川君お疲れ様」
白「お疲れ様です」
角「お疲れ様です」
白「てか下屋、お前ハワイなんか行った事ねえだろ?」
それを言われた下屋はハァ?と白川と睨み合う。角田は「私お茶入れてきますね、白川先生」と席を立つ。
白「あ、ありがとう」
下「え?え?」
それを聞いた下屋は戸惑い、鴻鳥は「露骨」と2、3回繰り返していた。
白「焼肉食いに行く相手もいねえくれえだもんな。フッ、1人…焼肉?」
その瞬間下屋が白川にグーパンチをお見舞いしようとするが、白川はそれを難なく受け止めた。
鴻鳥は下屋と白川のやり取りをにこやかに眺める。
小「でもさあ…もし旅先で出産して入院なんて事になったら、医療費半端ないことになるよね」
鴻「そうですね」
小「1億円近い請求書が送られてきたって話聞いた事あるけど?」
白「1億円?!」
小「それでも無事に産まれてきたのならまだしもだけど何かあったら、親はずっと悔いが残るから」
鴻「まあ、楽しんでいってらっしゃいと送り出すわけにはいかないですよね」
下「そっか…」
そこに瀬戸という女性とその娘・遙香を連れ鴻鳥に声をかけてきた。傍らには新生児科部長兼周産期センター長である今橋貴之もいる。
遙香という少女は白杖を持っており目が不自由である事がわかる。
その間、優香はそちらの様子を少し気に停めながらも昼食を取り終わり席を立つ。
小「あれ、翠原先生居たの?」
『はい、さっきからずっと。お先に失礼します』
優香は淡々とそう言ってその場を後にした。
小「なぁんか、四宮先生に似てるね」
そんな呟きを小松が漏らしていた事は先に食堂を出た優香には聞こえなかった。
スタッフステーションに戻った優香は残っていた四宮に声をかける。
『先にお昼休憩頂きありがとうございました。四宮先生もどうぞ』
四「ああ」
四宮はその一言だけ返すと席を立ち、医局を出ていった。
『………』
優香は何故かその後ろ姿を扉が閉まるまでじっと見つめていた。
『へぇー…あの藍沢が?何、黒田先生のやり方で育ててんの?』
白【わからないけど、でも…信頼してる上級医に「よくやった」って褒められると嬉しかったでしょ?】
『まぁね…。…でもこれでフェローが育てばいいけど』
ペルソナの産婦人科医局で休憩中だった優香は翔北の白石と通話していた。
白【そっちは?順調そう?】
『まぁね。でも、配属されてすぐに交通事故に巻き込まれた妊婦が運ばれて来てね…。母親の方は助けられなかったわ…』
白【そっか…。先生達は?】
『良い人ばかり。まぁ、1人藍沢に似てる奴いるけど。あ、あと男だけど白石に似てる奴もいる』
白【苦労してないみたいでよかった!それじゃあ、またね】
『えぇ、また』
優香は通話を終え、スマホをスクラブのズボンのポケットにしまった。
優香はその後、昼食の為食堂に向かい、鴻鳥が担当している患者が海外旅行をしようとしていた事を下屋、小松、助産師の角田真弓と共に聞いた。
ちなみに、優香は鴻鳥達と同じテーブルにはついていない。下屋、角田の座っている後ろのテーブルで鴻鳥達に背を向ける位置に座っている。
つまりは藍沢の様な感じで座っている。
下「ああ、それ今流行りのマタ旅ですね」
鴻「マタ旅…?」
角「マタニティ旅行。今ブームなんですよ」
鴻「えっ?」
小「ああ、妊娠中のリフレッシュとか出産前の思い出作りとかって旅に出るやつね」
鴻「えっ?」
下「まあ、妊娠中は精神的にも不安定になりますし、リフレッシュも悪くないとは思います」
小「でもねぇ…旅先で救急搬送される妊婦さん結構いるんだよ」
そこに下屋の同期であり新生児科の研修医である白川領が下屋の隣の席につく。
白「リフレッシュとかお気楽なこと言ってんなよな」
鴻「白川君お疲れ様」
白「お疲れ様です」
角「お疲れ様です」
白「てか下屋、お前ハワイなんか行った事ねえだろ?」
それを言われた下屋はハァ?と白川と睨み合う。角田は「私お茶入れてきますね、白川先生」と席を立つ。
白「あ、ありがとう」
下「え?え?」
それを聞いた下屋は戸惑い、鴻鳥は「露骨」と2、3回繰り返していた。
白「焼肉食いに行く相手もいねえくれえだもんな。フッ、1人…焼肉?」
その瞬間下屋が白川にグーパンチをお見舞いしようとするが、白川はそれを難なく受け止めた。
鴻鳥は下屋と白川のやり取りをにこやかに眺める。
小「でもさあ…もし旅先で出産して入院なんて事になったら、医療費半端ないことになるよね」
鴻「そうですね」
小「1億円近い請求書が送られてきたって話聞いた事あるけど?」
白「1億円?!」
小「それでも無事に産まれてきたのならまだしもだけど何かあったら、親はずっと悔いが残るから」
鴻「まあ、楽しんでいってらっしゃいと送り出すわけにはいかないですよね」
下「そっか…」
そこに瀬戸という女性とその娘・遙香を連れ鴻鳥に声をかけてきた。傍らには新生児科部長兼周産期センター長である今橋貴之もいる。
遙香という少女は白杖を持っており目が不自由である事がわかる。
その間、優香はそちらの様子を少し気に停めながらも昼食を取り終わり席を立つ。
小「あれ、翠原先生居たの?」
『はい、さっきからずっと。お先に失礼します』
優香は淡々とそう言ってその場を後にした。
小「なぁんか、四宮先生に似てるね」
そんな呟きを小松が漏らしていた事は先に食堂を出た優香には聞こえなかった。
スタッフステーションに戻った優香は残っていた四宮に声をかける。
『先にお昼休憩頂きありがとうございました。四宮先生もどうぞ』
四「ああ」
四宮はその一言だけ返すと席を立ち、医局を出ていった。
『………』
優香は何故かその後ろ姿を扉が閉まるまでじっと見つめていた。