14歳の妊娠 少女が母になる時
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3人の母
─1週間後─
『予定日までまだしばらくあるけど、吉沢さんの年齢だと早産になりやすいので今からしっかり見ていきましょう』
玲「はい」
玲奈の病室に優香は鴻鳥と下屋と共に訪れていた。
玲「私、前に痛いのヤだから麻酔してってお願いしたけど、あれもういいです」
下「えっ?」
玲「この間、鴻鳥先生に言われたでしょ?お腹の子の声を聞いてごらんって」
鴻「うん」
玲奈は大きくなった自身のお腹を撫でる。その行動をする玲奈の顔は立派な母親の顔だ。
玲「一緒にがんばろうって、言ってくれてる気がして。私、陣痛が怖くなくなってきました」
鴻「お腹の赤ちゃんが応援してくれてるんだ。心強いね」
玲「はい」
玲奈は鴻鳥達の方を見て挙手する。
玲「はい!翠原先生と鴻鳥先生に質問!」
鴻「お、吉沢くん」
『何?』
玲奈の挙手に鴻鳥が授業で当てるように促し、それに下屋が笑う。優香も玲奈に質問の続きを促す。
玲「先生達は、どうして産科医になったの?」
『…私は元々救命にいたの。けど、ただの救命医じゃなくて小さな命から大きな命…様々な命を救いたいと思った。それが産科医になったきっかけ』
玲「じゃあ、鴻鳥先生は?」
鴻「うーん…」
鴻鳥は少し思案すると玲奈のそばにある椅子に座り、語り始める。
鴻「僕には3人、お母さんがいるんだ。僕を産んでくれた母、3歳まで育ててくれた乳児院の母、それから…1人前にしてくれた養護施設の母」
下「……!」
『………』
鴻鳥の告白に下屋は驚き、優香は静かに続きを聞く。
玲「産んでくれたお母さんは…どうしたの?」
鴻「……亡くなったんだ。僕を産んでまもなく…。乳がんでね…。
がんが見つかったのは、僕がお腹にいる時だった。治療を優先するか、お腹の子の無事を摂るかの選択になって…。でも母は、お腹の子に少しでも影響があるかもしれない治療は一切受けなかったんだ。
…ま、院長先生から聞いた話だけど?」
そう言いながら鴻鳥はにこやかに下屋や優香を見る。
下「…え、大澤院長ですか?」
鴻「うん。当時、母の主治医だったんだよ」
玲「お父さんは?お母さんの治療より、赤ちゃんを選ぶ事に賛成したの?」
鴻「分からない。母は、1人で僕を産んで…父の事は語らずにしんでしまったから。
…がんと戦いながらの出産は、とても苦しかったと思うんだ。でも…僕が生まれた時、母は本当に幸せそうに笑ったんだって」
鴻鳥はそう言って笑みを浮かべた。
鴻「それで僕は思ったんだ。お母さんも、赤ちゃんも、誰一人死なせない産科医になるんだって」
鴻鳥と玲奈は笑い合い、下屋は目に涙を浮かべ、優香は静かに目を伏せた。
─1週間後─
『予定日までまだしばらくあるけど、吉沢さんの年齢だと早産になりやすいので今からしっかり見ていきましょう』
玲「はい」
玲奈の病室に優香は鴻鳥と下屋と共に訪れていた。
玲「私、前に痛いのヤだから麻酔してってお願いしたけど、あれもういいです」
下「えっ?」
玲「この間、鴻鳥先生に言われたでしょ?お腹の子の声を聞いてごらんって」
鴻「うん」
玲奈は大きくなった自身のお腹を撫でる。その行動をする玲奈の顔は立派な母親の顔だ。
玲「一緒にがんばろうって、言ってくれてる気がして。私、陣痛が怖くなくなってきました」
鴻「お腹の赤ちゃんが応援してくれてるんだ。心強いね」
玲「はい」
玲奈は鴻鳥達の方を見て挙手する。
玲「はい!翠原先生と鴻鳥先生に質問!」
鴻「お、吉沢くん」
『何?』
玲奈の挙手に鴻鳥が授業で当てるように促し、それに下屋が笑う。優香も玲奈に質問の続きを促す。
玲「先生達は、どうして産科医になったの?」
『…私は元々救命にいたの。けど、ただの救命医じゃなくて小さな命から大きな命…様々な命を救いたいと思った。それが産科医になったきっかけ』
玲「じゃあ、鴻鳥先生は?」
鴻「うーん…」
鴻鳥は少し思案すると玲奈のそばにある椅子に座り、語り始める。
鴻「僕には3人、お母さんがいるんだ。僕を産んでくれた母、3歳まで育ててくれた乳児院の母、それから…1人前にしてくれた養護施設の母」
下「……!」
『………』
鴻鳥の告白に下屋は驚き、優香は静かに続きを聞く。
玲「産んでくれたお母さんは…どうしたの?」
鴻「……亡くなったんだ。僕を産んでまもなく…。乳がんでね…。
がんが見つかったのは、僕がお腹にいる時だった。治療を優先するか、お腹の子の無事を摂るかの選択になって…。でも母は、お腹の子に少しでも影響があるかもしれない治療は一切受けなかったんだ。
…ま、院長先生から聞いた話だけど?」
そう言いながら鴻鳥はにこやかに下屋や優香を見る。
下「…え、大澤院長ですか?」
鴻「うん。当時、母の主治医だったんだよ」
玲「お父さんは?お母さんの治療より、赤ちゃんを選ぶ事に賛成したの?」
鴻「分からない。母は、1人で僕を産んで…父の事は語らずにしんでしまったから。
…がんと戦いながらの出産は、とても苦しかったと思うんだ。でも…僕が生まれた時、母は本当に幸せそうに笑ったんだって」
鴻鳥はそう言って笑みを浮かべた。
鴻「それで僕は思ったんだ。お母さんも、赤ちゃんも、誰一人死なせない産科医になるんだって」
鴻鳥と玲奈は笑い合い、下屋は目に涙を浮かべ、優香は静かに目を伏せた。