ツグミの会

優香は、鴻鳥、下屋、今橋、向井と共に｢ツグミの会｣を訪れた。5人を代表者の笠原節子が出迎える。

笠「問題を抱えた妊婦さんが、全国からうちを頼って来るんです。
手をこまねいてる間にも、行き場のない赤ちゃんが産まれてくるでしょ？その子達にも幸せになる権利はありますからね」
向「はい」
下「一旦、乳児院に預けて、親が育てられるようになったら引き取るっていう道もありますよね？」
笠「えぇ、もちろん。でもね、赤ちゃんの幸せを考えたら私は、できるだけ早く育ての親と一緒に暮らせるようにしてあげたいんです。先生方もご存知でしょ？乳児期に、親子の愛情関係を育む事がどれだけ大事か」

笠原の言葉に全員が頷く。

笠「私、養子を望むご夫婦とは何度も面接して、しつこく言うんですよ。｢これは、子供の福祉の為の制度です。子供が欲しい親の為のものじゃありませんよ｣って。
だから、養父母になる為の条件は厳しいんです。｢産まれてくる赤ちゃんの性別や病気や障害の有無を問わずに受け入れる事ができますか？本当に親になる覚悟はありますか？｣って。
それで、諦める人も多いんですけどね…」
鴻･下「『………』」

その時、インターホンがなり笠原が返事をする。

笠「養子を希望されてるご夫婦をお呼びしたんです。1度話してみてください」

笠原の紹介で1組の夫婦が鴻鳥達の前に座る。

妻「不妊治療を、6年続けました。でも…授からなかった。
身体も、精神的にも、もうボロボロで…」
夫「｢子供は諦めよう。夫婦2人で生きていこう｣って話していた時に、ツグミの会を知ったんです」
妻「嬉しかった。産めなくても…私達でも、親になる事ができるんだ、って」
今「もし赤ちゃんに病気があるとわかっても、受け入れる気持ちは変わらないんですか？」
夫「変わりません」
妻「上手く言えないんですけど…血は繋がらなくても、赤ちゃんって授かりもんだと思うんです」
鴻「………」
『………』

養子を希望している夫婦との話を終え、鴻鳥は数日前に会った加賀美美智子が勤めるイレーネ乳児院に向かい、鴻鳥以外の4人はペルソナへと戻った。