第1話 不幸を招く猫
18時。営業開始時間。
始めに店の扉を開けたのは、あの一家だった。
娘さんは警戒するようにじろじろと店内を見回していたが、真虫を見ると少し表情が緩んだ。自分に起きた異変を理解してくれた真虫に心を許したのだろう。
真虫は一家に問いかけた。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
父親はシチュー、母親はグラタン、娘さんはオムライスを注文した。
「霊のお客様、どうぞお座りください。ご注文はお決まりでしょうか?」
すると、椅子がぎいっと後退し、少し前へ移動した。ペンもひとりでに動き出し、綺麗な字で
”オムライス”
と記した。
俺も一家も目が飛び出そうになった。
15分後、全員の料理がテーブルに運ばれた。
いただきますの合図とともに、4本のスプーンが動き出した。
娘さんが空席に向かっておそるおそる問いかけた。
「……おいしい?」
宙に浮いていたスプーンの動きが止まり、ペンが
”おいしい”
と踊った。
娘さんの表情がぱあっと明るくなった。
俺が別のお客の料理を運んでいた時、ペンは何やら漢字を羅列していた。その下に、
”これはだんなさんがおくさんをおもったうたよ”
と書かれていた。
娘さんは最初首を傾げていたが、ご両親の補助によって内容を咀嚼した。
「『かんし』ってきれいだね!」
娘さんの純粋な笑顔に、俺の心は洗われるようだった。
一家が帰る時、父親が俺に尋ねた。
「霊の分の代金はどうすれば良いですか?あと、霊は今後どうなるのですか?」
「霊のお客様にはお皿洗いをしていただきますので、今回は3名分の料金で問題ありません。
また、霊のお客様には『食事をしたら取り憑き禁止』とご説明しておりますので、娘様からは離れます。
ただ、もしお互いがまた話したいと思う場合は、いつでも私どもの店をご利用ください。」
「わかりました。ごちそうさまでした。」
「パパ、ちょっと待って!」
娘さんがご両親を引き止め、虚空に叫んだ。
「『かんし』のお姉ちゃん!今度の土曜日、また来るね!」
娘さんの手元に、紙が舞い降りた。
”ありがとう”
娘さんは大きく手を振りながら店をあとにした。
俺と真虫はその光景を温かく見守っていた。
「見せ者としてでなく、友として霊と関わる。友に会うため、人間も霊も集う。素晴らしい作戦ですね。」
「だろ?」
始めに店の扉を開けたのは、あの一家だった。
娘さんは警戒するようにじろじろと店内を見回していたが、真虫を見ると少し表情が緩んだ。自分に起きた異変を理解してくれた真虫に心を許したのだろう。
真虫は一家に問いかけた。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
父親はシチュー、母親はグラタン、娘さんはオムライスを注文した。
「霊のお客様、どうぞお座りください。ご注文はお決まりでしょうか?」
すると、椅子がぎいっと後退し、少し前へ移動した。ペンもひとりでに動き出し、綺麗な字で
”オムライス”
と記した。
俺も一家も目が飛び出そうになった。
15分後、全員の料理がテーブルに運ばれた。
いただきますの合図とともに、4本のスプーンが動き出した。
娘さんが空席に向かっておそるおそる問いかけた。
「……おいしい?」
宙に浮いていたスプーンの動きが止まり、ペンが
”おいしい”
と踊った。
娘さんの表情がぱあっと明るくなった。
俺が別のお客の料理を運んでいた時、ペンは何やら漢字を羅列していた。その下に、
”これはだんなさんがおくさんをおもったうたよ”
と書かれていた。
娘さんは最初首を傾げていたが、ご両親の補助によって内容を咀嚼した。
「『かんし』ってきれいだね!」
娘さんの純粋な笑顔に、俺の心は洗われるようだった。
一家が帰る時、父親が俺に尋ねた。
「霊の分の代金はどうすれば良いですか?あと、霊は今後どうなるのですか?」
「霊のお客様にはお皿洗いをしていただきますので、今回は3名分の料金で問題ありません。
また、霊のお客様には『食事をしたら取り憑き禁止』とご説明しておりますので、娘様からは離れます。
ただ、もしお互いがまた話したいと思う場合は、いつでも私どもの店をご利用ください。」
「わかりました。ごちそうさまでした。」
「パパ、ちょっと待って!」
娘さんがご両親を引き止め、虚空に叫んだ。
「『かんし』のお姉ちゃん!今度の土曜日、また来るね!」
娘さんの手元に、紙が舞い降りた。
”ありがとう”
娘さんは大きく手を振りながら店をあとにした。
俺と真虫はその光景を温かく見守っていた。
「見せ者としてでなく、友として霊と関わる。友に会うため、人間も霊も集う。素晴らしい作戦ですね。」
「だろ?」
