FF編

「、、、ふぅ久々にカッとなっちゃったなぁ。」

フィールドから外れ、マネージャーらしき人物が座っているベンチに座るわけにもいかずそのまま遠くで試合を眺めることに決めた光は1人つぶやく。


光は元来、喜怒哀楽の激しい性分であった。幼稚園や小学生の頃なんかは特に怒った時に手が出やすく、両親も自分の娘のやんちゃっぷりに困り果てていた。
ただ、幼なじみ2人、特に一歳違いではあるが、幼稚園から一緒だった風丸はそんな暴れん坊の手綱を握るのが昔から誰よりも上手かった。そもそも、光の怒りの理由は大好きな人が嫌な思いをした時に限る。
光は知らないし、彼らに面倒ををかけてる自覚がそもそも無いが、そんな優しい光の怒りを風丸と円堂は大変だと思いながらも愛おしく思っているのだ。
中学生になって落ち着き、学校中を駆け回り賑やかさの中心にいるのは変わらなくとも暴力沙汰を起こすことはあまり無くなった。
そんな光が自分のために久々に怒ってくれた。風丸は最初は光が暴れかねないことに慌てていたが光が去ってからその嬉しさを噛み締めていた。

「にひひ、風丸お前嬉しそうだな〜。」
「まぁな。そりゃあ昔みたいに暴力沙汰起こすのは困るけどやっぱり光が俺のために怒ってくれるの嬉しいんだよなぁ。」
「わかるわかる。」

風丸の嬉しさが滲み出ている表情を見て円堂がからかう。風丸は照れくさそうに頬を赤らめながらも円堂の言葉を肯定した。円堂はそれに頷く。
中学生になってそれぞれのコミュニティが増えたため、学校ではあまり一緒にいることがない幼なじみ3人組は今でも互いのことが大好きであった。

そんな2人の様子を見て、ベンチに座っていた新聞部の音無春奈は驚愕する。

「さ、さっきの人遠目からだしジャージも来ていて背格好が分かりにくかったけど雷門中の有名人、白峰光先輩ですよね?!?」
「知ってるの?たまに円堂君と話してるのは見かけるけど、、。」
「えぇ?!知らないんですか?!!白峰先輩といえば、運動神経抜群!成績優秀!そしてなんでも器用にこなすその特技でありとあらゆる部活の助っ人で日々忙しくしてる雷門中3年の人気者ですよ?!」
「そ、そうなの。」
「はいぃ!しかも、爽やかで中性的な顔立ちから女子人気が高く私たち1年生の間ではファンクラブもできてるんです!」

音無の勢いにマネージャーの木野は体を退ける。
確かにあのルックスならファンクラブもありそうだ。でも、、

「あら?でも確かこの前見かけた時はスカートを履いていたような、、、、。」
「白峰先輩は女の子ですよ。でも身長も高いし女子に対して紳士的な対応をするから王子様的存在として大人気なんです!、、というか!あの2人、あの口ぶりだと白峰先輩の幼なじみってことですか〜?!うらやまいいいいい!!」
「あはは、、音無さんもファンクラブに?」
「はい!加入済みです。ちなみにそこにいる壁山君も男子で珍しく会員だったと記憶してます。」
「え?!壁山君も???」

確かに言われてみれば白峰先輩が来てから今まで、壁山君はずっと放心状態だったわ。

ファンと言うなら納得ではあるが、そこまで人気な白峰先輩。女の子ということで余計に木野は心に不安を抱いた。

「(円堂君、前あの先輩と話してた時も思ったけど見たことない表情、、、いいえサッカーに向けるときと同じ表情をしていたわ。、、、仲が良いのね。)」

恋する乙女は大変なのだ。
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