FF編

光はその日の放課後は近くの体育館で試合する卓球部に駆り出されていた。
友達や周りはみんな、毎日どこかしらの助っ人にはいり、忙しそうにしている光を信じられないとよく言うが、光的にはむしろ頼られて嬉しい上に運動にもなるのでありがたかった。
ただ、円堂にはサッカーがあるように風丸には走ることがあるように、何か一つに熱中できることが光にはない。それがなんだかちょっぴり胸の辺りがずんと重くなるときがあるのだ。

卓球部の助っ人は予想より早く終わった。そうだ、確か今日は守達サッカー部が帝国学園と試合をする日ではなかっただろうか?この時間ならまだやっている可能性がある。試合には参加できないと言ったけれど、応援くらいならできるかもしれない。
この前聞いた話ではなんとあの一郎太も参加するそうだ。幼なじみ2人の勇姿を見るため、光は急いで雷門中へ向かう。

「ん、、、?んん??な、なんだよあの戦車みたいなの。」

校門が見えてきた頃、その前にとてつもなく大きい乗り物が停まっているのが見えた。まるで戦車のような、禍々しい雰囲気があり、光は困惑する。それに、グラウンドは近いはずなのに、試合特有の騒がしさを感じない。
光はなにか嫌な予感がして、校門へと足をはやめた。




「、、、、、、、、、、、、は?」

視界に入ったのはとてつもない速さのサッカーボールがお腹にぶつかり、飛ばされた風丸の姿だった。そのボールはそのまま跳ね返り近くにいた他のサッカー部の少年に当たる。

これがサッカー?いや倒れているのは雷門中のユニフォームを着た選手ばかりだ。どう考えてもレッドカードものの違反行為なのではないのか?
帝国学園側の選手を見ると彼らはなんとも意地の悪そうな顔で笑っていた。まるでこの状況を楽しんでいるようだった。

こいつら、よくも一郎太を、、一郎太を!!!

光は何も考えることができなくなり、頭が真っ白のまま、試合中であるにもかかわらずフィールドへ歩く。

「ちょっちょっと、貴方うちの生徒でしょう?困りますよ。試合中なんで部外者は入らないでくださ、、っっひぃ!!!!」

そこへ雷門中サッカー部顧問冬海が光を止めるため、肩を掴み声をかける。
だが、掴んだ瞬間、光の射殺さんばかりの鋭い眼光に睨まれ竦み上がり即座に手を離した。
そのまま光は冬海を気にもとめずスタスタと歩き続ける。

「、、?だれでヤンスか。あの人。」
「遠くからじゃわからないけどうちのジャージ着てるね。でもなーんか見たことあるな。ちぇ、ここからじゃ顔が見えないや。」
「なんかキラキラしてて眩しい、、俺の影が更に薄く、、ふ、ふふふ。」
「あ、あの人はまさか!!!!」
「壁山、知ってるでやんすか?、、かべやま?おーい!、、、、へ、返事がないでヤンス。」

雷門のメンバーも乱入者に気づきザワつく。風丸と円堂は遠くからでもその乱入者が光であるとわかった。だからこそ2人は焦る。
ボールをぶつけられ、倒れていた風丸は急いで起き上がろうとした。しかし、それより早く光が風丸の元へと辿り着く。

「ひ、光?どうしてこんなとこにいるんだ、、おい?おいっ光!」
「、、、、、、、、。」

光は風丸の様子を確認した素振りを見せるとそのままセンターラインの方へと歩いていく。風丸は即座に光がブチギレていることを確信し、円堂へと呼びかけた。

「まずい!!円堂、光のやつキレてるぞ!!!早く止めないと怪我人がでちまう!」
「っな、やっぱりそうなのか?!やばいあのままあいつ、帝国のヤツらを殴っちまうんじゃ、、?」

何やら物騒なことを言っている2人に帝国のキャプテン、鬼道有人は眉を顰め、こちらへ向かってくる乱入者を見つめる。
雷門のジャージを着ているが、奴らの様子を見るとサッカー部では無いらしい。
総帥が言っていたのはコイツか、、?
そんなことを考えていると少し離れた距離に居たはずの光が目の前にいた。

「っ?!!なに?!!」

そしてそのまま鬼道の足元にあったサッカーボールを奪われる。
いくら思考に集中していたとはいえ、目の前に来る得体の知らない奴を警戒していたのに呆気なく取られてしまった。
鬼道はこの生徒が只者ではないと瞬時に悟り、追いかけながら仲間に指示を出す。

「佐久間!辺見!成神!そいつからボールを奪い返せ!!」

近くにいた彼らに呼びかけ自らも光を追いかける。彼らは優秀な帝国学園サッカー部の一軍選手だ。各々のポジションはもちろんのこと、それ以外のポジションの能力も申し分ないほど鍛えている。
なのに、

「はあああぁぁっっ!!なにっ?!」
「まじか、うそだろ?!」

彼らのディフェンスをあっさりと躱し光はそのままボールと共に走り抜ける。
彼らは驚愕した。鬼道でさえもあまりの異常事態に途中から動きを止め光を観察している。彼らは力を抜いている様子も無かった。だと言うのに光は人間離れした身のこなしで1人1人を確実に抜かしていく。
光のドリブルは1回1回の蹴りの威力がとてつもなくボールに触れている時間や回数は少ない。しかも、その力も調整がうまくできておらず距離はバラバラなことから不慣れであることが見てわかる。
にもかかわらず、ボールとの開いた距離を一瞬で詰めるほどのスピードで走っているため周りは追いつけず、気がついたら光はゴール前へと辿り着いていた。

帝国のGKである源田は光と対峙する。

「、、、、っ誰かは知らないが絶対に止めてみせるっ!!」

対峙した瞬間に得体の知れない何かを源田は感じた。数多の学校と試合をし、その度に帝国のゴールを守ってきた源田はそこで初めて圧倒的な圧に足を後退させた。

「、、、、、、、、。」

光はゴールの中心位置で立ち止まると右足を大きく振りかぶる。今、光は何も考えていなかった。ただ、足が、身体が、もともと知っていたかのように動くのを感じていた。

あげた右足はボールへと突き刺すような勢いで降ろされる。その瞬間光の足は白い光を纏い眩しく輝く。源田は目が痛むほどの輝きに目を細める。
白い光は真っ直ぐな軌道で源田へと直進する。その威力と速度はとてつもないものだった。

「くっ、、、パワーシールドッッ!!!はあああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

源田は自らの必殺技パワーシールドを出し、食い止めようと力を込める。

「くそっ、止めきれない、、、ぐあぁっ!」

だが、光のシュートを止めることはできず源田を吹き飛ばしゴールネットへと突き刺さる。

突然の乱入者が見たことのない強烈なシュートを放ち帝国から一点を取ってしまった状況にその場にいた全員がしばらく唖然としフィールドに沈黙が広がったのだった。
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