キヨは「え？」という最俺メンバー３人の声を無視しニコニコの笑顔で玄関へと走った。

　現状を上手く把握できていないヒラ、フジ、こーすけはソファーに倒れるように座り込み、玄関からキヨが帰ってくるのを待った。

　暫くしてキヨは帰ってきた。──例の女の子を連れて。

　「んー、じゃあ紹介するわ。この方が俺の家政婦」
キヨが女の子の肩に手を置き、そう言った。
「宮田すみれです。よろしくお願いします」
女の子はそう自己紹介をした後、リビングを見渡してから、ヒラの方を見て小さくペコリと頭を下げた。ヒラはさっき女の子を迷惑な視聴者扱いをしてしまったことを恥ずかしく思いつつ女の子に軽くお辞儀をした。

　キヨはすみれをソファーに座るように促し、自分は皆の前に胡座をかいて座った。

　フジの隣に座ったすみれを皆がじーっと見つめていた。

　すみれは今日は日曜だって言うのに、ここらの公立高校の制服のセーラー服を着ていた。あまりに不自然な格好に３人は動揺を隠せなかった。

　「まー、簡単に言うとさ。俺、最近家事とか放棄しまくってるわけ。だから家政婦を雇いたくてさぁー」
キヨが語りだす。
「でも家政婦って雇うの死ぬほど高くて。一時間で1500円ぐらいするの。で、丸1日働いてもらおうと思ったら1日で3600円。それが1年だと13140000円もするわけ」
誰もが「おい待て、丸1日も働かせるのかよ」とツッコもうと思ったが、話が長くなりそうなので放って置くことにした。
「んで、高すぎるから無料で働ける人を考えたの。そしてたどりついたのが、ジャーン！バイトを禁止している学校に通う学生！ってこと」

　ヒラ、フジ、こーすけの頭にはてなマークが浮かんだところでキヨはすみれの隣に座った。

　すみれの腰まである茶色がかった髪はどこか傷んでいるように感じた。綺麗に切り揃えられていないボサボサの髪。そんなすみれの髪をキヨは丁寧に手ぐしでとかしていく。

　「どうする？すみれちゃん。自分で言う？」
キヨはすみれにそんなことを聞いた。すみれは小さく首を横に降る。

　不思議なキヨの行動を、ヒラ、フジ、こーすけは現状を把握できず黙って見ていた。

　しばらくしてキヨは遠い目をしてあることを話し出した。

「さっき言ったのは76%くらい嘘でさぁ」