序章 千年の始まり

 どうかあの鬼を追い返す術を教えてくれ。あの鬼はどんどん力をつけていて、いずれ誰の手にも負えなくなる。いずれあれは……あれは世界を飲み込む化け物となる』
 鬼を追い返す方法を求め、封印されたカミの力を借りようと玉依姫を頼る。
『玉依姫は言う。助けてもいいが、神の力を使えば、その封印は危うくなる。お前たちは永劫に、この地で私と共に刀を守る役目を負うことになるがそれでもよいか。
 三つのカミはたちは玉依姫と契りを交わし、封印によって守られし神の力を与えられた。
 鬼と彼らは七日七晩戦い、妖狐と大蛇が命を落とし、そして鬼は滅した。
 玉依姫は鬼の復活を妨げる為、封印された刀を解放し、鬼の首を刎ねた。
 こうして、カミの力に鬼斬丸の名がついた。よきものよって解放された刀は再度封印がされた。しかしその封印は甚だ弱いもので、いずれその効力を失うことは目に見えていた。一人残った八咫烏は──』
 契りを交わした三柱のカミは永劫に守護者になることを条件に、神の力を与えられ、鬼を滅することに成功する。
 これが、守護五家と言う守護者の成り立ちと、神の刀の名の由来。
『玉依の血、薄れども、人の世の情念、霊を血に宿らせこれにより鬼斬丸を封印せしものなり。鬼斬丸の封印弱まる。一人。再びの世に幸あれかし。かくて、血による守り堅固になりけり。再びの世に……』
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