第三章 綻びの足音
わずかに顔を覗き込まれ、そう指摘される。
「大丈夫。昨日、本読んでたら寝るの遅くなっちゃって。少し、寝不足なだけ」
少し力ない笑みで、そう返す。
(なんで私の席、拓磨の前にあるんだろう……)
言っても仕方ない愚痴を漏らす。
二人の間の空気は、朝登校時と並行して気不味いまま。
気不味いのか拓磨も、クラスメートに挨拶をしたきり、机に突っ伏してした。
二人の様子を教室の外の廊下から、人知れず静かにほくそ笑みながら見ている者がいた。
その影の存在を、二人は気づきもしなかった。
「はぁ……」
太陽の日差しの下 で今日、何回目かのため息をつく。
しかし、今のため息は朝からの拓磨との気不味い関係ではなく、目の前のものに対してのものにだ。
午後の授業──美術の時間で課題が外で校舎の写生だった。
この冬の季節に外での写生はいかがなものかと思ったが、外は冬にしては日光が降り注いでぽかぽかして暖かく陽気がいい。
珠紀はグランドのベンチに座り、スケッチブックに校舎を写生していた。
下絵を仕上げ、その下絵に絵の具で色を付けていく。
最後のひと塗りを終えて、絵を完成させた。
「大丈夫。昨日、本読んでたら寝るの遅くなっちゃって。少し、寝不足なだけ」
少し力ない笑みで、そう返す。
(なんで私の席、拓磨の前にあるんだろう……)
言っても仕方ない愚痴を漏らす。
二人の間の空気は、朝登校時と並行して気不味いまま。
気不味いのか拓磨も、クラスメートに挨拶をしたきり、机に突っ伏してした。
二人の様子を教室の外の廊下から、人知れず静かにほくそ笑みながら見ている者がいた。
その影の存在を、二人は気づきもしなかった。
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「はぁ……」
太陽の日差しの
しかし、今のため息は朝からの拓磨との気不味い関係ではなく、目の前のものに対してのものにだ。
午後の授業──美術の時間で課題が外で校舎の写生だった。
この冬の季節に外での写生はいかがなものかと思ったが、外は冬にしては日光が降り注いでぽかぽかして暖かく陽気がいい。
珠紀はグランドのベンチに座り、スケッチブックに校舎を写生していた。
下絵を仕上げ、その下絵に絵の具で色を付けていく。
最後のひと塗りを終えて、絵を完成させた。