第三章 綻びの足音
横で並んで歩く二人の間に、重い沈黙が流れている。
土日の休日中に謝ろうと決めたのに、切り出すタイミングが見つからない。
(なにか話題を。話題を!)
このままじゃいけないと思った珠紀は、意を決して話しかけてみる。
すると目の前の道に、白猫がいた。
「ね、拓磨! 白猫がいるよ」
話しかけるのに、随分と勇気がいった。
不自然に声が上がっているのが、自分でも気づく。
作った笑顔も引き攣っているのにも気づく。
「あぁ……そうだな……」
こちらに顔を向けることなく、拓磨は表情のない顔と温度のない声で返した。
(……あ……ダメだ……)
なにか話題を振って、少し和んだところで謝ろうかと考えていたのに不発に終わる。
失敗に終わった珠紀は、再び口が閉じてしまう。
内心、深いため息が出る。
雪を踏む硬い音が妙に響く。
黙っているから余計だろうかなどと、思う中でどうやって謝ろうかと考えながら並んで歩く。
そのあと、二人は会話はなく学校に到着した。
朝、謝るタイミングを逃してしまった。
「はぁ……」
自分の席に着くなり、深いため息が出る。
鞄を机の横に掛け、席の椅子に座るとまた一つ深いため息をついた。
前の席の女子が振り返り、元気な声をかけられた。
「おはよう、珠紀ちゃん!」
「あ、おはよう……」
「どうしたの、珠紀ちゃん? なにか、少し顔色が悪いよ? 大丈夫?」
土日の休日中に謝ろうと決めたのに、切り出すタイミングが見つからない。
(なにか話題を。話題を!)
このままじゃいけないと思った珠紀は、意を決して話しかけてみる。
すると目の前の道に、白猫がいた。
「ね、拓磨! 白猫がいるよ」
話しかけるのに、随分と勇気がいった。
不自然に声が上がっているのが、自分でも気づく。
作った笑顔も引き攣っているのにも気づく。
「あぁ……そうだな……」
こちらに顔を向けることなく、拓磨は表情のない顔と温度のない声で返した。
(……あ……ダメだ……)
なにか話題を振って、少し和んだところで謝ろうかと考えていたのに不発に終わる。
失敗に終わった珠紀は、再び口が閉じてしまう。
内心、深いため息が出る。
雪を踏む硬い音が妙に響く。
黙っているから余計だろうかなどと、思う中でどうやって謝ろうかと考えながら並んで歩く。
そのあと、二人は会話はなく学校に到着した。
朝、謝るタイミングを逃してしまった。
「はぁ……」
自分の席に着くなり、深いため息が出る。
鞄を机の横に掛け、席の椅子に座るとまた一つ深いため息をついた。
前の席の女子が振り返り、元気な声をかけられた。
「おはよう、珠紀ちゃん!」
「あ、おはよう……」
「どうしたの、珠紀ちゃん? なにか、少し顔色が悪いよ? 大丈夫?」