第三章 綻びの足音

「罠の準備をはじめよう──」
 微笑を浮かべ、告げる彼の後ろで彼女は黙って背中を見つめ控えている。
 この季封村に来てから彼──主の機嫌がいい。
 彼が嬉しいと、自分も嬉しくなる。
 彼が彼女に振り返る。
「俺の望みが叶う日が早く来るよう、お前も力を尽くせ」
 彼女は返事の代わりに、深くこうべを垂れた。
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