第二章 ゲームのはじまり

 自室で電気も点けずに壁を背に座って天井を見上げ、珠紀は先ほどのことを思い返す。
 明らかに態度が変だった。
 今もまだ、戸惑っている。
 恐らく、原因は自分──。
 家に帰ってからも、珠紀はその原因を考えていた。
 冷静に考えて、一つだけ思いつく。
 忘れ物を取りにいって、長い時間待たせてしまったことだ。
 よく考えれば、長く拓磨を待たせてしまっていた。
 拓磨は、長い時間待たされたことを怒ってる。
 原因があるとしたら、それしかない。ほかに心当たりが思いつかなかった。
「うん……ちゃんと謝ろう」
 窓に向かって手を伸ばす。障子を開けて、窓の外を見上げる。
 暗がりの部屋に月明かりが差し込み、部屋を薄く照らした。
 差し込んだ月明かりが、珠紀の顔も照らす。
 見上げた夜空に、満点の星と七日月が浮いていた。
 都会と違い澄んだ空気は、月と星がよく見える。
 青い光は、複雑な表情をする珠紀を静かに照らしていた。
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