第二章 ゲームのはじまり

 その後、いつも通り神社に続く石段の前でまで送ってもらい、そこで別れた。
 ここまで帰ってくる道、二人は終始無言だった。
 珠紀は拓磨のことが気がかりですぐには階段を上がらず、寂しく拓磨の背中を見送った。
 拓磨は一度も振り返ることなく帰って行く。彼の姿が見る見る遠く、小さくなっていった。
 やがて完全に拓磨の姿が見えなくなったところで、珠紀は階段を上る。
 上がっていく途中で、空を仰いだ。
 夕方から夜に変わりかける空に、一番星が輝いている。
 冬の冷たい空気のおかげで、よく見える星は孤独に輝いているように見えたのだった。

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 珠紀と同じように、歩きながら一番星を彼も見ていた。
 紫に染まる空に、一つの星が輝いている。孤独に。
 まるで、自分たちのようだと彼は思う。一番星を見る度にそう思う。
 彼女──玉依姫を月。
 彼ら──守護者たちを月の周りに輝く星。
 そして彼は、あとから輝く幾つもの星の中に埋もれる一番星──。
 例える彼の背後に、寂しく長い影が引くのだった。

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