間近で見た螢斗の微笑みに、顔が少し赤くなるのを感じ、慌てて手元に目線を移した。


「終わったー」
　珠紀はホッチキスを机に置いて、喜びの声を上げる。
　あれから二十分もかからないうちに、積まれていた残りの分のプリントを綴じ終わった。
　外の夕日が、わずかに傾いていた。
　室内はわずかに暗さを増す。
「ありがとう、春日さん。手伝ってくれたから、思ったより早く済んだよ」
　束ねたプリントをトントンと机を叩いて整え積まれた上に置きながら、螢斗が礼を言った。
　そして彼が、珠紀の目を見つめてくる。
「ねぇ、春日さんの趣味ってなに？」
　机の上に頬杖を突き、その両手の手の甲の上に顎を置いて質問された。
　その仕草も、またすごくさまになる。
「えっ？」
　突然、お見合いでされる質問に螢斗を見て珠紀は目を丸くする。
　窓から差す夕日が、螢斗の顔を照らす。
　金糸の髪が夕日の光を浴びて蜂蜜色に染まり、茶色の瞳は夕日の光を帯び赤さを増し、深い紅茶色をしていた。
　夕日に煌めく髪と瞳は、ただただ綺麗で神秘的だ。祐一同様、きれいと言う言葉が似合う人だっだ。