第二章 ゲームのはじまり

 心当たりを探す珠紀の横で、拓磨は黙って歩く。
 その日、二人は無言のまま、学校に登校した。

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 拓磨の心の中は、朝の清々しい冬の冷たい空気とどこまでも広い青い空とは対照的に、黒く悶々としていた。
 原因は──隣を歩く珠紀だ。
 猫沢螢斗が転入した初日の珠紀と螢斗の一瞬あった微妙な空気と彼が珠紀に向けた意味深な笑みを見てから、心に黒いものが悶々としている。
 加えて昨日の、珠紀と螢斗が一緒に理科室に入ってきたのを見て、さらに黒く悶々とする。
 なぜ一緒だったかと、聞けない自分の根性のなさに嫌気が差した。
 一体なんなんだ、あの転校生はと思いながら、胸の中で拓磨は小さなため息をついた。

🍁

「これで、よし」
 珠紀は満足げに言った。
 それに答えるみたいに、「ミャー」と鳴いた。
 夕方。拓磨の送りで帰って来た珠紀は石段の下の脇で、拾って下さいと書かれた段ボールに入った怪我をした雄の三毛猫を見つけた。
 珠紀は家に連れて帰り、三毛猫の手当てをした。
「珠紀様」
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