第一章 季節外れの転入生
「三、二、一、──でーきたっ!」
真弘の合図で土鍋の蓋が取られると、白い湯気が立ち込める。晴れると程よく中の具が煮え上がっている。
煮え上がった肉や野菜等の具材が、グツグツと踊っていた。
「「「肉────────っ!」」」
真っ先に三つの箸が肉に群がる。
煮え上がる前から、鍋の前を陣取っていた真弘、拓磨に遼による肉食獣三人が今日も肉争奪戦がはじまった。
肉食獣たちが肉争奪戦を繰り広げる隣では、ほかの五人が穏やかに鍋をつつく。程よく煮えた鍋に、舌鼓を打った。
騒がしいと思うが珠紀は、騒がしくも賑やかで穏やかな楽しい時間が大好きだ。みんなで過ごす時間が。だが、珠紀たちは知らなかった。
不穏な足音が歩き出し、ゆっくりと迫っていることに。
この時は、まだ、楽しい日常が続くとばかり思っていた。
半月と満天の星空の下──誰もいない紅陵学院の屋上に人影が三つあった。
柵に背を凭れ、閉じていた目をゆっくりと開ける。
千里眼の能力を使い彼は、その様子を静かに見ていた。
「随分のん気だね」
呟く唇が弓形に歪む。
冷たく澄んだ外ではく息は白い。
先ほどまで見ていたのは、玉依姫と守護者たちの様子だ。
真弘の合図で土鍋の蓋が取られると、白い湯気が立ち込める。晴れると程よく中の具が煮え上がっている。
煮え上がった肉や野菜等の具材が、グツグツと踊っていた。
「「「肉────────っ!」」」
真っ先に三つの箸が肉に群がる。
煮え上がる前から、鍋の前を陣取っていた真弘、拓磨に遼による肉食獣三人が今日も肉争奪戦がはじまった。
肉食獣たちが肉争奪戦を繰り広げる隣では、ほかの五人が穏やかに鍋をつつく。程よく煮えた鍋に、舌鼓を打った。
騒がしいと思うが珠紀は、騒がしくも賑やかで穏やかな楽しい時間が大好きだ。みんなで過ごす時間が。だが、珠紀たちは知らなかった。
不穏な足音が歩き出し、ゆっくりと迫っていることに。
この時は、まだ、楽しい日常が続くとばかり思っていた。
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半月と満天の星空の下──誰もいない紅陵学院の屋上に人影が三つあった。
柵に背を凭れ、閉じていた目をゆっくりと開ける。
千里眼の能力を使い彼は、その様子を静かに見ていた。
「随分のん気だね」
呟く唇が弓形に歪む。
冷たく澄んだ外ではく息は白い。
先ほどまで見ていたのは、玉依姫と守護者たちの様子だ。