第一章 季節外れの転入生

 その緑の目を嬉々と輝かせて。
「その転校生は男か? 女か? 美人なのか!?」
 キラキラした瞳で真弘は、珠紀と拓磨は交互に見やる。
「男っす……」
 真弘の勢いに押されつつ拓磨が申し訳なさそうに答えると、真弘はがっくりと肩を落とした。
「でも、隣のクラスに女子の転校生が来たって聞きましたよ」
 珠紀の言葉に真弘は顔を上げて、今度見に行かねばと思っていると、様子を見ていた慎司が小さく手を挙げた。
「あの、僕のクラスにも転校生が来ました。女の子でした」
「え。慎司君のクラスにも?」
「はい」
「じゃあ今日、三人の転校生が来たんだ。名前、なんて言うの?」
「猫沢朱希です」
 珠紀は少し驚く。彼女のクラスの転校生も、名字が猫沢だったからだ。
「もしかして、その二人、兄妹か従兄弟かもしれませんね?」
「うん、そうかもね」
 その時の珠紀は、そのことを軽く聞いていた。

🍁

 夜。宇賀谷家の居間に、いつもの顔触れが揃って鍋を囲んでいた。
 顔触れは珠紀に美鶴と六人の守護者。
「いいか。鍋は煮えにくい物から入れるのが上策。あと、白滝とネギも忘れるなよ!」
「うす。奉行!」
 いつも通り、鍋奉行として真弘が采配を振るう。
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