第一章 季節外れの転入生

「はいはい。今、閉めますよ」
 オサキ狐の抗議に従い、窓を閉める。
 指と指を組み、両腕を伸ばしながら前に突き出して身体も伸ばす。
 軽くストレッチをしてから、寝間着を脱いで着替えはじめる。
 もう着なれた制服に袖を通した。
 皺を伸ばし、鏡の前で髪を櫛で梳かして、部屋を出て洗面所で歯磨きと洗顔をして身形みなりを整える。
 自室に戻り、文机に向かい上に出してある教科書、ノートに筆箱を学生鞄に仕舞う。
 忘れ物がないか確認する。
「よし。忘れ物無しっと!」
 学校に行く準備を調えたら、台所へ向かう。
 季封村に帰って来てから、家の家事は交代制で分担することとなった。
 今日の食事当番は珠紀。
 台所に入ると制服の上にエプロンを掛かけ、冷蔵庫から材料を出す。
 フライパンを火に懸ける。
 温める間にまな板の上で、食材を包丁で切っていく。
 温めたフライパンに油を引き、その上から卵を割って落とす。
 切ったハムと一緒に、卵を炒めていった。
 一品目を作り、二品目と同時に食事と同じように二人分の弁当を作る。
 またフライパンに油を引き、卵を溶かして、フライパンに流す。
 薄く伸ばした卵を、何回かに分けて折っていく。
 卵焼きが完成。それをまな板に置き、なん等分かに切った。
 切り分けた卵焼きを、弁当箱の中に詰める。
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