序章 千年の始まり

 これより千年ののち、薄れた封印が解け、刀が再び解放されてしまうのは、また別の話。
 雪の降り積もる野にて、鬼と対峙した玉依姫と三柱のカミの話は、けしてお伽噺などではない。
 本当にあった物語──。
 鬼と三柱の伝承は、知る人ぞ知る物語である。
 この伝承の前に、玉依姫に起こったある悲しい物語は歴史に残ることなく、また語られることもなく、誰も知らない。
 語る物語は、三柱と鬼の伝承の前に遡る。
 封印の地に来た、神々から疎まれた一柱のカミからはじまった──。
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