あかね、頼久、天真、詩紋の四人は土御門殿の蔵を掃除をしていた。
「ふーう。大分、片づいたね」
「そうだな」
　あかねと天真は棚に荷物を降ろすと、手の甲で汗を拭いた。
「じゃあ、お茶でも飲みながら一休みしよう」
「そうだね」
　詩紋の入れたお茶を、四人で飲みはじめる。
「は～あ。一段落したあとに飲むお茶は、和むねぇ～」
「ぷっ。お前、年寄りみたいだぞ」
　あかねの年寄り臭い発言に天真は小さく吹き出し、笑った。頼久と詩紋も微笑する。
「でも、茶を飲むと甘い物欲しくなるよな」
「それなら僕、お茶請けのお菓子持ってくるよ」
　詩紋が立ち上がり、蔵の取っ手に手をかけた。
　──その時。
　グラグラ。
　ドサドサ。
「｢あぁああああ！｣」
「きゃっ！」
「神子殿！」
　突如、地震が起き蔵の物が棚から落ちてき、しばらくすると揺れは治まった。
「あかね大丈夫か？」
「うん。大丈夫だよ」
　幸い、四人とも怪我はないらしい。
「結構、大きい地震だったね」
「ああ。とりあえず外に出ようぜ」
　扉を開けようと蔵の取っ手に、天真が手をかけようとするが。
「──あれ？」
「どうしたの？　天真先輩」
　天真がゆっくりと詩紋の方を向く。
「……取っ手がない……」
「嘘……」
　詩紋が信じられないと言う表情で、天真を見つめる。
「じゃ、見てみろよ」
　詩紋は、天真が手を伸ばす取っ手の方を見た。