🎻・🎼『とある御夫人の想い出話』

 家まで送ってくれる彼の気遣いは嬉しいけど練習の後、途中まで一緒に帰ってたけど、それと訳が違うと言うか、そういう意識がなかったというか。
 いざ、一緒に帰るって意識すると、なにを喋っていいのかわからないっていうか。
「『あ────っ。この緊張をどうにかしてっっ!』って思った時、おかあさん、お腹が盛大に鳴っちゃったの。お腹の方が、この緊張に耐えられなかったみたい……。ああ、死ぬほど恥かいた。今、思い出しても恥ずかしいわ」
 よほど笑いのツボに入るのか、香穂子は背凭れに身体を深く預けて大笑い。
「お詫びに肉まんおごるけど、買い食い初めてだったらしくて。おとうさんのコンビニ肉まんデビュー~!」
 笑いのあとに、柔らかい微笑みになり。
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