🎻・🎼『とある御夫人の想い出話』

うだったろうけど。
「言うことはきついし。堅いし。冗談は通じ
ないし。すぐ怒るし」
 それを、娘は目が点になり聞いていた。
 高校時代の父と、自身の知る父とがまったく結びつかないのだろう。
 でも関わるうちに、優しい一面もあることを知って。
『君の指は、ヴァイオリンを弾く指だろ!』
「その時、おとうさん、三年生の先輩に絡まれてって、おかあさんね──」
 なんとかしようとして思わず、近くにあった花瓶の水をぶっかけた。
 三年生にだけかけるつもりが、勢いあまって彼にもかけてしまい。
「おかげで、おとうさんまでずぶ濡れ!」
 香穂子は懐かしげに笑う。
「じゃあ、どうしておとうさんをすきになったの? どうしてけっこんしたの?」
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