🎻・🎼『とある御夫人の想い出話』

 微笑みながら、膝を折り屈んで娘の目の高さに合わせて向かい合う。
「恥ずかしいことを、とてもリアルに思い出すのよ。とっても、とっても、恥ずかしいことをね」
 母の表情が微笑みから極悪顔に変わったので、娘が小さな身体からだをビクッと震わせる。
「でもちょっと、甘い思い出だったりして、複雑なのよ」
 極悪顔から一転。今度は、わずかに頬を赤らめて、恋する乙女の甘い表情かおに変える。
 ころころと表情が変わる香穂子に、娘は困惑する。
「んー?」
 娘が再び不思議な顔をして、首を傾げる。
「おかあさんの学生高校時代のお話よ」
「それって、おとうさんとの?」
「そう。いらっしゃい真莉亜まりあ。あなたにだ
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