🌸『盗賊の巻』
驚く樒。なにやら、炊事場の方から物音がする。
急いで行ってみると、あかねが味噌汁を温め、握り飯を作っていた。あかねが樒に気づく。
「今度は、なにやってんだよ?」
「お味噌汁を温めて、おにぎりを作っていたの。体力つけてとかないと、持久戦に備えなきゃ」
ますますペースを樒は崩される。
すると外から、イノリの叫ぶ声が聞こえてきた。
「賊に告げる。今すぐ、あかねを解放して出てこい! そうでなければ、実力行使する!」
ガッン!
天真がイノリの脳天に、思い切り拳を落とした。
「痛って──! なにすんだよっ、天真!」
「バカ! 犯人刺激して、どうすんだよ!」
「すみません……」
落ち込み謝るイノリだった。
その様子を、樒とあかねが窓から見ていた。
「アイツ……バカだろう?」
「うん。ちょっとね」
樒が呆れ気味であかねに尋ねる。
あかねは微笑んで答える。
二人は、あかねの作った握り飯を食べ終わると茶を啜っていた。
そこであかねは、ずっと疑問に思っていたことを口にする。
「ねえ、樒君。どうして盗みに入ったの?」
あかねに真っ直ぐに見つめられ、少し黙っていた樒だったが、ゆっくりと話はじめる。
自分の家が貧しく、弟や妹に満足の生活をさせてやりたいから盗みに入ったと。
それを聞いたあかねは、悲しい顔をする。
「それでも、やっぱり盗みに入るのは、よくないよ」
急いで行ってみると、あかねが味噌汁を温め、握り飯を作っていた。あかねが樒に気づく。
「今度は、なにやってんだよ?」
「お味噌汁を温めて、おにぎりを作っていたの。体力つけてとかないと、持久戦に備えなきゃ」
ますますペースを樒は崩される。
すると外から、イノリの叫ぶ声が聞こえてきた。
「賊に告げる。今すぐ、あかねを解放して出てこい! そうでなければ、実力行使する!」
ガッン!
天真がイノリの脳天に、思い切り拳を落とした。
「痛って──! なにすんだよっ、天真!」
「バカ! 犯人刺激して、どうすんだよ!」
「すみません……」
落ち込み謝るイノリだった。
その様子を、樒とあかねが窓から見ていた。
「アイツ……バカだろう?」
「うん。ちょっとね」
樒が呆れ気味であかねに尋ねる。
あかねは微笑んで答える。
二人は、あかねの作った握り飯を食べ終わると茶を啜っていた。
そこであかねは、ずっと疑問に思っていたことを口にする。
「ねえ、樒君。どうして盗みに入ったの?」
あかねに真っ直ぐに見つめられ、少し黙っていた樒だったが、ゆっくりと話はじめる。
自分の家が貧しく、弟や妹に満足の生活をさせてやりたいから盗みに入ったと。
それを聞いたあかねは、悲しい顔をする。
「それでも、やっぱり盗みに入るのは、よくないよ」