🌸『子供の巻』

 天真と詩紋は、あかねの部屋に入り声をかける。
「おーい。あかね、いるか?」
 そこで、天真と詩紋が見たものは──。
 鏡の前に座らされ、あかねに髪を弄られている友雅と頼久の姿があった。
 友雅は髪を一つに纏めて三つ編にされ、頼久はツインテールにされていた。
「天真君、詩紋君。見てかわいいでしょう?」
「うん! かわいいー!」
 詩紋はあかねの隣にいき座り二人を見て、彼女に賛同。
「──ブッ!」
 一方、天真はあまりのおもしろさに思わず小さく吹き出し、大笑いしそうになるのを必死に堪える。
 弄られている二人は──友雅は楽しんでいる様子だが、頼久の方は放心状態になっていた。
 そんな頼久を見た天真は、笑い出すのを一層堪えた。
 詩紋がなにか思いつき立ち上がる。
「僕、お菓子を包む用に作ったリボン持ってくる!」
「グッジョブ詩紋君!」
 二人の髪を弄るのに詩紋も加わった。
 中華風、三つ編を増やして少しアレンジしたりする。
「いやぁ~ん。こうしてみると着せ替えもしてみた──い!」
 あかねは色んな服を脳内想像する。
「あーんな服や、こーんな服。帽子もいいね。いろんなのが似合いそう!」
「あかね。それだけは、やめとけよ」
 聞いていて二人を少し憐れに思った天真は、軽いツッコミを入れる。
 そんなことをしているうちに、一日目が過ぎていった。
 ──二日目。
 その事態は起きた。
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