🌸『子供の巻』
それは、突然の出来事だった。
あかねは天真、イノリ、永泉、泰明とで市に買い物に出かけていた。
土御門に残っていたのは頼久、詩紋、友雅と言う珍しい組み合わせであった。
三人は特に喋ることもなく黙って茶を啜っていた。
そんな中、詩紋が話を切り出す。
「あの~。友雅さん、頼久さん……」
「なんだい、詩紋」
「お願いがあるんですけど……」
突然の願い事に二人は首を傾げる。
「願い事とはなにかな?」
友雅は脇息に身体を預け、扇子を鳴らしながら詩紋に先を促す。
「僕が作った、お味噌汁を飲んでいただきたいのです」
「噌汁を?」
「はい……」
少し考え込む二人。
「つまり、試食と言うことかな?」
「はい。そうです」
友雅は詩紋に笑顔を向けて。
「別にかまわないよ。ねえ、頼久」
友雅が頼久にチラッと目を配る。
目を合わした頼久も、別段異存はなかったので「はい……」と短く答えた。
二人の返答に喜んだ詩紋は、急いで立ち上がった。
「じゃ、直ぐ持ってきますね!」
そう言って詩紋は炊事場に向かった。
十五分すると詩紋は、味噌汁の入ったお椀を載せた盆を持って戻ってきた。
「お待たせしました」
味噌汁を見た友雅が、詩紋に尋ねる。
「具は茸かな?」
「はい。そうですけど……茸、嫌いでしたか?」
「いや。では、いただこうか」
友雅が言うと、三人は味噌汁に口を付ける。
あかねは天真、イノリ、永泉、泰明とで市に買い物に出かけていた。
土御門に残っていたのは頼久、詩紋、友雅と言う珍しい組み合わせであった。
三人は特に喋ることもなく黙って茶を啜っていた。
そんな中、詩紋が話を切り出す。
「あの~。友雅さん、頼久さん……」
「なんだい、詩紋」
「お願いがあるんですけど……」
突然の願い事に二人は首を傾げる。
「願い事とはなにかな?」
友雅は脇息に身体を預け、扇子を鳴らしながら詩紋に先を促す。
「僕が作った、お味噌汁を飲んでいただきたいのです」
「噌汁を?」
「はい……」
少し考え込む二人。
「つまり、試食と言うことかな?」
「はい。そうです」
友雅は詩紋に笑顔を向けて。
「別にかまわないよ。ねえ、頼久」
友雅が頼久にチラッと目を配る。
目を合わした頼久も、別段異存はなかったので「はい……」と短く答えた。
二人の返答に喜んだ詩紋は、急いで立ち上がった。
「じゃ、直ぐ持ってきますね!」
そう言って詩紋は炊事場に向かった。
十五分すると詩紋は、味噌汁の入ったお椀を載せた盆を持って戻ってきた。
「お待たせしました」
味噌汁を見た友雅が、詩紋に尋ねる。
「具は茸かな?」
「はい。そうですけど……茸、嫌いでしたか?」
「いや。では、いただこうか」
友雅が言うと、三人は味噌汁に口を付ける。