永泉、泰明、イノリの三人以外の全員が、やってしまったと言う表情をした。
「あぁ……今日はここで俺たち、一夜過ごすのかよ……」
「それはどういうことですか？」　
　天真の言葉に、永泉が鷹通と同じように尋ねてきた。
「それはな……」
　天真は先ほど白虎コンビにした同様の説明を、三人に一からした。
　あかねたちは仕方がないので、茶の入った急須を中心に輪になって茶を啜った。
　そんなことをしているうちに、換気用の小窓から差し込む外の光は、もうすっかり茜色に染まる。遠くから鴉の鳴き声も聞こえてきた。
「もう決定だな……」
「うん……」
　天真の呟きに詩紋が頷く。
　こんな状況になっても冷静なあかねを、天真は見た。
「あかね、お前……この状況になっても冷静だな」
「そうかな？」
　天真の問いに、あかねは不思議そうな顔になった。
「実は私、かなり楽しんでいるだ。この状況」
「はあ？」
　彼女の楽しんでると言う台詞に、天真は目を丸くして思わず間の抜けな声を上げる。
「だって、しばらくこんなふうにみんなと過ごしていなかったじゃない？」
　確かに彼女の言う通り、ここ数日間、怨霊退治に四方の札探しで全員でゆっくり過ごしてなかった。
　あかねの想いを聞いた八葉たちは、なんだか嬉しく思った。
「神子……」
「我々も神子殿と今日一日を過ごせて嬉しいです」
　八葉たちは頷き、あかねは彼らに笑顔を向けるのだった。