🌸・🐲『蔵の巻』

 ギィィィと重たい音を立てて扉がゆっくり開かれた。
「やあ、神子殿。ご機嫌いかがな?」
「こんにちは、神子殿」
 現れたのは友雅と鷹通の白虎コンビだった。
「友雅さん! 鷹通さん!」
「どうしたんだい、詩紋。泣きそうな顔をして」
「なにかあったのですか?」
 二人が揃って、中に入って来る。
 ギィィィ。
 バタン。
「「あ────!」」
 天真と詩紋の声が重なる。
 それに驚いた鷹通が尋ねてくる。
「どうしたんですか?」
「扉が……閉まっちゃった……」
 中に入る時、鷹通が咄嗟に扉を閉めてしまった。
「あぁぁ……」
 天真と詩紋の落胆の様子に訳がわからない鷹通は、隣の友雅に尋ねてみた。
「私、なにかいけないことしたんでしょうか?」
「さあー。どうだろうねぇ。どうしたんだい。なにかあったのかい?」
「実はな……」
 天真が二人に状況を説明した。
 聞いた友雅が口元に扇子を当て笑った。
「なるほど。つまり、私たちは、閉じ込められてしまったと」
 ──笑いごとじゃ、ねぇだろう!
 友雅ののん気な笑いを前に、内心怒りを覚え天真は拳を作るが、そこはぐっと堪え抑えた。
「でも天真先輩、大丈夫だよ。まだイノリ君たちが来ていないから」
「おう、そうだな」
 イノリ、永泉、泰明が来ていないからまだチャンスはある。
「はい。友雅さん、鷹通さん」
 あかねは友雅と鷹通に茶を淹れた。
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