夢見る力

 遼も呆れた様子で、そんな言葉を吐く。
「そういうわりには、こうやってつきあってるじゃありませんか。しんぱいそうなかお、してますよ。くたにくん?」
「うっ……」
 笑顔で卓に図星をつかれ、遼はなにも言い返せなかった。
「ところで、おおみしゃん。そろそろ、とめにはいらなくて、いいんでしゅか?」
 拓磨が卓に顔を向けて、止めに入らないか聞く。
 ほかの五人が拓磨の意見に賛同するように、こくこくと首を振る。
「あんな、けなげでいっしょうけんめいな、たまきさんをとめられます? いくらやっても、まほつかいになれないって、みなさんいえますか?」
「「「「「「……ですよねえ……」」」」」
 笑顔でそう返す卓と健気に頑張る珠紀に、しばらくの沈黙ののち、五人はそう言うしかなかった。

🍁


 それから、何時間がすぎ、日がとっぷりとすぎて夕方になる。
 カー、カーと鴉も遠い空で鳴く。
「ぷはあ~っ」
 疲れた珠紀は、ボロボロで地面に仰向けで大の字に寝転んだ。
 そんな珠紀を心配してヒナが寄ってくる。
「だいじょうぶ」
 ぽんっとヒナの頭に手を置いて、珠紀は安心させるように言う。
「きっと、もとのところに、かえしてあげるからね」
 そう満面の笑顔で言う珠紀を、ヒナはじっと見つめていた。
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