夢見る力

「ちょうやく! えいやっ!」
 もう二センチ浮くがそれだけで、慎司は頑張るがあまり変わらなかった。
 結局、二+一+二で五センチしか浮かなかった。
「な、なかなか、てごわいですねえ」
((((((だから、五センチしかういてないしっ!))))))
 やりきった感の慎司に、六人が脳内で真弘の時と同じツッコミをする。
「では、つぎはわたしが」
 四番手に、笑顔を浮かべ卓が前に出る。
「あとりくん、すみませんがここにたってください」
 真弘はヒナを手に乗せ、卓に言われるまま木の前に立つ。
ひとひとちゅ、げんしゅつ!」
「……え?」
 訳のわからない真弘の足下が光り、魔方陣が現れ、地面から勢いよく水柱が現れ爆発した。
 ば──────────ん!
 ほかの者は唖然とそれを見る。
 煙が晴れるとそこには、全身煤だらけの真弘が立っていた。
 卓は爆発の勢いを利用して真弘の身体を、天高く上げようとしたいようだったが、失敗だったらしい。
 そして卓は笑みを浮かべたまま、何事もなかったように平然とこう言った。
やっぱり・・・・、むりだったようですね」
((((((すぐるしゃん・おおみしゃん、やっぱりって、もしかしてさいちょからわかっててっ))))))
 卓の言葉に、真弘以外の六人が顔を引き攣らせながら冷や汗をかいた。
 どれもこれも失敗に終わる。
 珠紀は、自分の手の上に乗るヒナをじっと見つめて。
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