夢見る力

 こうりょう幼稚園に通う、次代の『玉依姫』の珠紀。
 その守護者──。
『常世神』の血を引く、拓磨。
 八咫鴉『クウソノミコト』の血を引く、真弘。
 妖狐『ゲントウカ』の血を引く、祐一。
 大蛇『コドノマエ』の血を引く、卓。
 玉依姫の血筋の分家の『御言葉使い』の、慎司。
『イヌガミ』の血を引く、遼。
 幼稚園の帰り道、ピィピィと鳴くある物を発見する。
「わあっ。かわいいっ」
 珠紀は屈んで、その生き物を両手の上に乗せた。
「どーうしたんだろー。こんなとこに。ヒナだー」
「ほんとに、かわいいですねえ」
 珠紀の隣で同じように屈んで、ヒナを見た慎司が賛同する。
「おそらく、あそこからおちたんですね」
 卓が上を見上げて言う。
 珠紀はヒナを乗せたまま立ち上がり、卓の目線を辿り同じく上を見上げた。
 見ると、空まで届きそうな高さの高い大木が立っていた。
「たかーいっ。あんなところ、まほーつかいでないといけないよーっ」
 珠紀がそう言い、ほかの者が唖然する横で、
「ふっふっふ」
 不敵に笑う真弘に、みんなの注目が集まる。
「ここはこのおれ、あとりまひろせんぱいちゃまにまかせろ! なんだって、ヤタガラスのちをひくんだぜっ」
 自信満々に言うや真弘は、珠紀からヒナを受け取ると背中に黒い翼を広げる。
「んん……!」
 ぱたぱたぱたぱた。
 翼を羽ばたかせるが、少ししか浮かない。
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