日記
P.A.B
2018/04/04 19:09ゲームの話
今月配信されたばかりのスマホアプリゲーム。ポスト・アポカリプス・ベーカリー。面白い。
プレイヤーは、荒廃した世紀末世界で最後に残されたパン屋の店長。と言っても荒廃した世界にはパンの材料になる小麦なんかは当然残されていないので、空気中のダークマター(!?)を煙突から集め(??)、先代の残した謎技術(……?)を使いパンを生成(???)します。……というのを、だいたいオープニングの3分くらいでよくわからないぶらさがりメカからざっと解説してもらうのですが、なるほど意味が分かりませんね。ゲームを進めるとこの先代の開発した謎理論のことを知る科学者が出てきたりもするのですけど、まあとりあえず意味が分からないままゲームが始まります。
なるほどわからん
プレイヤーとしてやることは単純。焼き上げられてベルトコンベアーから流れてきたパンをカウンターにスライドさせることで、お客さんに提供していくだけです。代金をもらい、集めたお金でパンの味・匂い・見た目のきれいさ・腹持ちの良さなどのパラメータを上げたり、1日のパンの生産個数を増やしていったりします。
本当にやることはそれだけなんですが、世紀末世界だけあってやって来るお客さんのパンチが効いてて飽きないんですよね。生身の人間の兄妹なんかもいるのですが、戦闘用ロボットや超能力者、ミュータントや脳ミソまでパンを買いに来る。個性豊かなお客さんは来店回数を重ねることで店の常連になっていき、ある程度仲良くなると悩みを打ち明けられたりお願い事をされたりします。いわばクエストで、パンのパラメータの強化が必要になるのはここですね。人間関係のトラブルから機械の故障、超能力の不調、はたまた「存在とは何か?」みたいな哲学の話まで、お客さんたちのあらゆる頼み事を、ただおいしかったりやわらかかったり栄養があったりするパンを焼くだけの力技で解決まで持っていきます。なんだこのゲーム……。
一介のパン屋には重荷すぎます。
ほんとになんだこのゲーム……と思ってしまうのに、なかなかやめられない不思議な魅力がある。最初はぶっきらぼうだったり乱暴だったりするお客さんが、次第に自分のことを話すようになってくれたり本当の姿を見せてくれる様子は見ていてほっとしますね。ゲームを進めていくと常連さん同士が知り合いになって一緒にお店に来てくれることもあります。意外な組み合わせのメンバーから生まれる予想外の会話やくだらないトラブルを見ているだけでも面白い。パンの強化にややこしい条件が必要だったりするわけではないので、次はこの人の要望を解決しよう、と決めてサクサク進めることができます。今後のアップデートでお客さんが増えるかもとのことなので、のんびり楽しみたいゲームですね。ただ、ちょくちょく誤字があるのが気になる人は気になるかも。時間経過で溜まるスタミナ的なものは3回店を開けると無くなってしまうので一気に進めようと思うとちょっと苦しいですが、広告動画の視聴か課金で即座に回復が可能です。
去年Vitaで出たベネズエラのインディーゲーに「va11-hallA」(ヴァルハラ)っていうすごく良いゲームがあるんですけど、それに雰囲気というかノリがちょっと近いかな。あっちは近未来のバーでセクサロイドとかサイボーグや犬にカクテルを出すというサイバーパンク物。直接悩み事を解決してあげたりはせず「ただカクテルを出して話をするだけ」のスタンスであるという違いはあるんですけど、お客さんたちの身の上話や持論を聞いたり複雑な人間(人間?)模様を眺めたりするゲームっていうのは同じですね。ヴァルハラ、日本語訳にものすごく気合いが入ってて一気に世界観に引き込まれます。おすすめです。まあアルコールを提供する場のお話なので、ちょっと生々しい下ネタが多かったりするのですが。パン屋が肌に合うなら次はバーテンダーになってみるのもいいし、逆にバーテンダーが楽しかった人は今度はパン屋になってみるのもいいんじゃないですか。