日記

すごいゲームだ

2019/06/16 12:55
ゲームの話
 
先日セールで買ったNIGHT IN THE WOODSが凄まじかったんですよという話。とある理由で大学を中退して故郷に帰ってきたネコチャンの……こう色々と複雑なお話なんですけど、まず目に見えて衰退する田舎町に漂う空気感がとてもすごい。高校時代に入り浸っていた食堂は潰れてスーパーも廃墟になっていて、町内では今後街をどうしていくかで役員が揉めてる。地元で働いている昔の仲間達も一見変わっていないようで暖かくメイを受け入れてくれるけど、本当はいつの間にか「私なんかよりずっとオトナな感じがする」ようになっていて……。
そもそも学校もやめたし働いてもいない主人公のメイは夕方に目を覚まして(ゲーム内の時計を見て窓から射し込んでる光が朝日でなく夕日だと知るなど)出かけていって、仕事の合間を縫って時間を作った友達とバンド練習したり蛍光灯を割ったりしてるんですよ。他にも万引きしたプレッツェルをネズミにあげたり、電線を渡って空き部屋に忍び込んだりの繰り返し。メイは基本的にテンション高めで楽しそうなんですが、ふとした瞬間にプレイヤーに「こんな毎日でいいんだろうか……」と思わせるような、PLAYISMが本気のローカライズで表現したじわじわと迫る焦燥感が秀逸。そのうちメイ自身だけでなく周りのみんなが、更に言えば街全体が抱えている病のような問題が見え始めてくるとやめ時が分からなくなって2周してしまいました。脳天気そうなグレッグが不意に見せる陰鬱さやアンガスへの危うい依存心の吐露からは思わず目を背けたくなってしまうし、作中3回くらいあるビーとの大喧嘩で普通に泣いてしまいました。私はこんなこと絶対言えないけど、メイは私ではないので話を進めるために選択肢を選ばなきゃならないのがほんとに辛かった。
メイちゃんはわりと本当に口も悪いしめちゃくちゃだし悪いことするし(友達を万引に誘うシーンは思わず嘘だろ……と思っちゃいましたけど)、でもなんだろう、嫌いになれなかったです。うまく説明できないけど、多分無理に言葉にする必要はないんじゃないかなという気持ち。メイを好きになれなくて共感できなくても、ポッサムスプリングのどこかに自分と似た住人を見つけられるんじゃないかなと思います。ハタチという爆弾みたいな年代が抱える自己矛盾とか地元の仲間たちとのヒリついた関係とか、混沌のモラトリアムをそのまま差し出される感覚がとにかくすごく良かったです。

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