Caligula

ハッピーハッピードラッグ(主鍵)

2018/03/04 21:16
主鍵

(前サイトログ)


隣のクラスの女の子が実は×××って聞いたから僕の知ってる1年の×××の男子を紹介してあげた後に実はその男子の親友が×××だってことがわかってさ、まあ当然放っておけないから今度×××に連れてってあげて試しに×××に会わせてあげることになったんだけどそうしたらね……、……楽しげに語る部長の頬はほんのりと紅潮していて、人形じみた端正すぎる容貌を持つ彼に対して僕が唯一人間らしさを感じる時間でもあった。きっと部長のことを信頼したのであろう生徒たちが打ち明けた数々の秘密が、悩み事が、閉じられた部室の中で途切れることなく吐き出され続ける。僕はそれを黙って聞いている。止まらない暴露とソファの上で足を組み替えるゆったりとした動きが妙にアンバランスだった。

「あぁ、ああ、また言ってしまった、君の前ではどうも気が緩んでしまってダメだな」
「人のせいにしないでくださいよ」
「そうだね、うん、最低なのは俺だ、俺だけだ」

笑う部長の声には甘ったるい恍惚が入り交じっていて、「最低だ」などという自傷の言葉に反して後悔や反省の色などどこにも見当たらなかった。僕をひとり呼び出して溜め込んだ秘密をぶちまける快感に酔う彼に、「なんで僕を選んだんですか」と問いかけたところで、きっと今日もまた「秘密だよ」とはぐらかされてしまうのだろうなと思った。歪んだ欲を抑えきれなくなって誰かに救いを乞うみんなも、まるで自慰みたいな人助けにのめり込む部長も、そして処理しきれなくなった感情の捌け口にされることで彼の「特別」になれると期待している僕も、みんなみんな病気で、みんなみんなおかしいんだ。

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