Caligula
都会は病んでいる(主鍵)
2018/03/06 18:21主鍵現実
(前サイトログ)
先輩から「風邪をひいた」というWIREが来たので、ドラッグストアに寄って買い物をしてから彼のアパートに向かった。スポーツドリンクとのどあめと熱冷ましのシートを差し入れすると、先輩はありがとうありがとうと僕にお礼を言う。台所に備蓄してあるパックのごはんでおかゆを作って、ぐったりと寝たままの先輩にスプーンで少しずつ食べさせてあげた。
「なんか、あかちゃんみたいですね」
先輩はちょっとやわらかめというか僕からしたら相当水っぽいというか、ぶっちゃけた話びちゃびちゃのおかゆが好きらしい。ほんとに離乳食みたいだなあと思いながら、スプーンにおかゆをひとすくい。おいしいんですか、と聞くと、おいしいよ、と答えられてしまうものだから、僕はそれ以上何も言えない。
「こわかったなあ」
と、先輩は言った。アパートの外からは、車の走る音が聞こえる。子どもの笑い声も聞こえる。窓の外は、すっかり赤い夕焼け空だ。
「どうしたんです、突然」
「もしこのまま死んじゃったら、だれも僕のこと見つけてくれないのかなって、心配になって」
「死んじゃう前に、ちゃんと来てあげたじゃないですか」
「そうだね」
ぐす、と鼻水を啜って目を潤ませる先輩はやっぱりあかちゃんみたいだったので、熱冷ましのシートの上からおでこにキスをしてあげた。