Caligula

36度4分の天国(主琵琶)

2018/03/14 15:03
主琵琶

「救われたい、報われたい、許されたい」
「……すごいね君。それは全部、僕があげられないどころか君から取り上げてやりたいとすら思っているものだ。もしかして被虐趣味?」
「そう、かもしれないなぁ、アンタのことめちゃくちゃにしてやりたいし、同じくらいめちゃくちゃにされたいとも思ってる。……もちろん、ベッド以外の場所でね。後ろの初めては、せっかくだから本当に大事な人にあげたいの」
「君みたいな男はきっとろくな死に方をしない」
「……いいよもう、どうせ一回死んでるようなもんだし」
「おいおい、そんなに弱気になるなよ、部長。うっかり好きになってしまったらどうするんだ」
「べつに何も変わりゃしないよ。そうでしょ、うそつきで最低のオニーサン」
「…………」

返事代わりに立てられた中指を戯れに握ってみると、指輪を外した手に包み込むようにやさしく掌を握り返されてしまった。おいおい、うっかり好きになっちゃったらどうするんだよオニーサン。どっちに転んでも地獄だなあとため息を吐きながら、俺は柔らかな枕に顔を押しつけた。もう二度と、次の朝なんて来なければいいのに。

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